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【インプリンティング】

真鍋教授は、T大理学部生物情報学科の精鋭だ。

40代前半で名門T大の教授となった。

専門は、生物情報学。

生物が行動を決定するときにどのような脳内物質を発生させ、

それが身体のどの器官に作用させるのか、

それを探る研究だった。

研究室の中には、さまざま生物が飼われている。

哺乳類だけではなく両生類や爬虫類までいる。

生物情報学は、進化過程も調べる必要があったからだ。



研究室の構成は、彼のほかに准教授1名、助教2名、

大学院後期課程(博士)3名、前期課程(修士)8名

留学生2名と4年生が6名在籍している。



教授は、容姿に恵まれた方ではなかった。

ずっと非モテで独身だった。

逆にその負のエネルギーを研究に費やしてきたと言える。

だからこそ、その若さでT大の教授となったのであった。


研究室は、毎年新しい学生が入って、何人かが就職の為に転出していく。

もう何年も同じ光景が続いている。

しかし今年は違った。

教授は、今年修士過程に入学した高井希(たかいのぞみ)という学生に

一目惚れしてしまった。



彼は、作戦を考えた。

もともと真鍋教授は、鳥類が生まれて最初に動くものを親として認識するのは

どういう仕組みかという研究をしてきた。

よく知られているように、羽化したばかりの雛は、目の前で最初に動くものを

親として認識する。

だから、雛が最初にヒトを見た場合、自分の親はヒトだと思ってしまう。

そのヒトの後をついて歩き成熟するまでに会得するべきことを学ぼうとする。

これをインプリンティング(刷り込み)という。



これは、本能であると考えられた。

インプリンティングは一瞬のうちに起こるからだ。

真鍋教授は、世界で初めてこの現象を

f-MRI(functional Magnetic Resonance Imaging)によって観察した。

f-MRIは、脳内で活発化した部位を画像で見ることができる。

そして、同時にどんな脳内物質が生じるか。

併せて観察した。


驚くべきことがわかった。

脳内で発生する物質は、フェネチルアミンという一目惚れを引き起こす物質だった。

そう、インプリンティングは、一目惚れが引き起こす現象だったのである。

そしてこれは哺乳類にもその作用が確認できた。



教授は、以前からこの現象に気がついていたが、それを公にすることを控えていた。

自分のために使おうという思惑があったからである。


そして、今年の修士課程に高井希が入ってきた。

教授は、いまこそ使うときだと決心した。



用意したのは、2つの薬物。

1つは、インプリンティングを引き起こす作用がある薬物、彼はこれを

リセッターと呼んでいた。

そしてもう1つは、フェネチルアミンそのもの。

これを、コーヒーに混ぜて彼女に飲ませよう。


そうすれば、彼女の意識は一度リセットされ、

目の前にいる教授に親愛の感情を抱く。

そのときにフェネチルアミンそのものも服用することでその効果を確実なものにする。


教授は、高井希を研究室に呼んだ。

研究の進捗状況を確認すると言って。


教授は、その効果が相乗的にでるように、自分のコーヒーにもリセッターと

フェネチルアミンを混ぜていた。


教授室をノックした高井希は、ソファーに腰掛けた。

教授に勧められるまま、コーヒーに口を付けた瞬間、建物が大きく揺れた。

大きな地震だ。


うろたえた教授が最初に見たのは、飼育水槽からこちらを見ている

ウーパールーパーだった。

すでに教授は、コーヒーを一口飲んでいた。

【2013年10月記】



※あくまでも、作者の妄想なので現実社会で実行されないように希望しますm(_ _)m




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