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【ディスオーダー28 次元が違う 】

「じゃあ、たまたま見えなくなっているだけで、

この世から消えちゃった訳ではないってこと?」

「たぶん、そうだね。違う次元にいるのかもしれない。」


さつきはちょっと懇願するような表情で、

「上原さん!物理の苦手なこの子羊にもよくわかるように説明してくださいませ。」

上原は、頭を掻きながら、

「わかりました。子羊さん。説明しましょう。」


上原は、壁に掲げてあるホワイトボードに絵を描き始めた。


最初に書いたのは直線だった。

「もし、世界が直線だったら、住んでいる生物はどんな動きができますか?」

さつきがちょっときょとんとしている。



決(きめる)が答えた。

「たくさんの生物が住むことはできるんですが、

前へ進んでも、後ろに進んでも誰かとぶつかります。

前後に余裕がないとただそこにたたずんでいるだけになります。」

「そのとおり。正解です。じゃあ、彼らを区別する方法はありますか?」


決(きめる)がまた答えた。

「幅も高さもないから、長さだけが区別する方法です。」

「素晴らしい。模範解答ですよ。」


次に上原は、平面の絵を描いた。

「じゃあ、こんな平面の世界に住んでいる生物はどんな動きができますか。」

今度はさつきが答えた。

「長さと幅があるから前後左右に動けるってことですか?」

「さつきさんは、飲み込みが早いね。正解です。」



上原が立方体の絵を描くと、3人は質問を予想したように微笑んだ。

でも上原の質問は、ちょっと意外なものだった。

「直線に住んでいる生物は、平面の世界を想像できますか? 

それから、平面に住んでいる生物は、立体の世界を想像できますか?」


しばらく沈黙が続いた。

それを破ったのは峰だった。

「想像できないでしょうねえ。だって彼らの常識にはないものだから。」


「そうなんです。たぶん生まれてから死ぬまでそんなことは分からない。

教えてもらっても実感できないでしょうね。

じゃあ、立体の世界に平面の世界を作ったらいくつできますか?」


決(きめる)とさつきが間髪を入れず答えた。

「いくつでも!」

「そうですね。高層ビルの各階が平面の世界だとすると、

いくつでも平面ができますね。

でも、上の階のことも下の階のことも彼らにはわからない。

高さという概念がないから。」


決(きめる)が目を輝かした。

「上原さんの言いたいことが何となく分かってきました。

僕達は、高層ビルの例えば20階にいる。

消えたひとたちは、違う階にいるってことですか。」

「そういうことです。実は、この世界は11次元という

我々には想像がつかない高次元からなりたっているということが

分かってきました。

だからヒトが消えたということは、こういう説明ができるんです。」

「消えた原因は、地震が引き金になったと?」

「そうかもしれませんが、他の原因かもしれません。

でもツアコルビトルは知っているんです。

だからもう一度彼に聞いてみたいですね。」


さつきが割り込んだ。

「じゃあ、ぽおひとぽおみに相談すればいいんじゃないの?」

3人は大きく頷いた。

決(きめる)は、クーラーボックスからシャーレを取りだした。

(続く)

【2013年9月記】




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