あれは、ゴジラが小学6年のときだった……。
まだ、学習塾に通う生徒がめずらしかった時代、ゴジラはなぜか学習塾に通うこととなる。
自宅から自転車で5分くらいの場所にある、駅前ビルの3階のジミ~な塾だった。
初日、教室をみまわし、入塾したことを後悔した。
女子の姿はなく、全員が男子。しかも、おなじクラスで学年一の悪がきガジロウが、一番うしろでふんぞり返っていたからだ。
教室は小さな部屋で、生徒は20人もいない。
初日から3日後、ゴジラは前から2番目の席のすみに座り、妙な感覚におそわれた。
便通だ!
ふと、今朝はなにを食べたかを思い出す。
大好物のハンバーグだ。ご飯もおかわりしたな……。
となりに座る妹の皿に、いつまでもなくならないハンバーグをかすめとる流し目もギンギンだったぜ。
給食はなんだったけ……。
おお! 大好物のミートソーススパゲッテイだ。
おいしかったな……。
おかわりの列に、いまゴジラの斜めうしろの席にふんぞり返るガジロウよりも先に並んでやったぜ!
いや、そんなことを思い出している場合じゃない。
お尻の 「出口」 と書かれたあたりがヒクヒクし始めてきたのだ。
ムムム、大量出産をもくろんでいるかのようなこの感覚……。
まずいではないか!
まだ終わりまで1時間もあるぞ!
次第に額には脂汗がにじみ、下半身が痙攣しはじめる。
先生にいうか?
「すみませ~ん!」
「はい、可愛いゴジラさん、どうしましたか?」
「あのう、おおお手洗いにいきたいんですけれど……」
ガジロウ
「へへ、ゴジラ、ウンコ、がまんしてるのかよォ~!」
だめだ……。
これは奴にとって絶好のタイミングであり、ご馳走なのだ。つねにからかう対象をみつけることに命をかけるガジロウに、弱みをみせてはならない。
ううううううう~、どどどどうしよう……。
出口さんが、出口さんがとうとう逆表面張力の限界に挑戦をはじめたではないか!
逆立ちするか?
いや、それはもっとまずいだろう……。
口からブツが出てしまえば、オーメンよりもすごいぞ!
あっ、それもありかも。
ゴジラに恐れをなしたガジロウが、子分申請をしてくるかもしれない……。
あああ~、があああ~、だだだだれがぁ、だずげで~。
も、もう、もう限界だ~!
ここは森……。
そう……、ここは癒しの空間……。
マイナスイオンにあふれてる……。
木々の間から木漏れびおりるう~。
優しい風が頬にやさしくさわり、ゴジラをくすぐるぅ……。
あっ、水の音?
近くに小川でもあるのだろうか……。
チュンチュン、チュンチュン……。
あっ、小鳥のさえずり……。
なにかゴジラに囁いているぞ……。
「出しちゃえよォ、さっさと出しちゃえよォ、がまんは体によくないぜ~」
さようで……。
ぼっ!
えっ?
ぅわおっ!
・・・・・・・・・・・・・音姫たいむ・・・・・・・・・・・・・・・
はあ~、ぎぎぎぎもじいい~、
か・い・か・ん!
―――――― つづく ――――――