伝説の里ニライカナイが
死んでも守るものがあると言った友の言葉を信じます。
彼女がいうなら、きっとそうなんだろう。
父のときも
私は子供で無力だった
大人みたいな顔して毎日働いているのに。
でも嘆いていたって仕方がないから、
今度私の大切な人が
生きられないくらい苦しんだり
最後まで生き抜こうとしたりしているときに
必ず力になれる人間になると決めた。
そのために。
15歳のときに教わったことは
私の動かぬ土台でありながら
開けてはならないタイムカプセルみたいに
しまいこんで出し惜しみしていた
もう「やっとできました」って言ったって
あの人には見せることができない
それでも全力で生きなくちゃ。
この前、ゴールデンスランバーを何で二度も観にいったのか
ようやくわかった。
映画の中で「ゴールデンスランバー」=帰りたい場所、すこし遠くなってしまった幸せな過去。
私にとって、ゴールデンスランバーはニライカナイだった。
17年前、一度だけみたニライカナイ。
全力で生きて、仲間を信じて、自分自身と戦い抜いた人間しか
たどり着けない場所。
あれからずっと似ている場所にはいるけど、
まだ本物には出会っていない。
次にニライカナイにたどり着いたら、
先生に会いに行く。
人は人を助けられないのか
ってここ何年か考えてた。
たぶん助けられない。
でも助け合ってる、ちょっとずつ。
そのちょっとを繋ぐ、力がほしい。
「あの向こう遥か彼方に 伝説の里 ニライカナイが
泉のように ほのおがあふれつづけてて
太陽は日々その中から ああ 新しく生まれるという」
海の不思議 川崎 洋作詞・平吉 殻州作曲
今頃きっと
私の人生でただ一人の恩師の弔いが行われています。
どうしても行けなかった。
私は意外と弱い 人間なでしょうか。
彼のことだから、
きっと自らの死すら教え子たちへのメッセージをこめているように思えてなりません。
中学校の頃から、中学生日記のドラマを地でいくようなクラスでした。
当時の人間たちが30歳を超えた今、
こうして考え苦しむことも想定してなお、
こんな筋書きを作ったんじゃないかとさえ思わされる
あなたはそんな先生でした。
あなたの死から、私は何かを学び取らなければ
あなたはきっと化けて出ることでしょう。
卒業のときに私に出した宿題を思い出して。
「なつき、お前jは
ジョニーは戦争へ行った
の感想を書け」と。
15歳の私は、
もうすこし待ってくださいと言って
17年の月日が過ぎてしまったけれど
先生、ジョニーと照らし合わせたあなたの弱さや苦しみを
分かち合えなくてごめんなさい。
ジョニーのように
苦しくどん底で少しの望みもなくなったって
人は生きてゆくしかないのです、まっすぐ、前を見て。
この答えを、あなたにつたえられていたら、
あなたは自ら命を絶つことはなかったのでしょうか。
それでも、私は後悔なんて、したりしません、よ。
人間の最大の武器は何だか知ってるか。
「習慣と信頼だ」
吉岡秀隆が演じる森田森吾のこの台詞がもう一度聞きたくて、
会社終わりに、二度目の「ゴールデンスランバー」を観に映画館へ急いだ。
が
ちょうど、この台詞が終わったところに到着。
ま、そんなもんだよね・・・
でもいいんです。
この言葉がずっとこの物語の土台となって鳴り響いたまま、
展開されるのだから。
どきどきハラハラ息を呑むようなストーリーなのに、
テーマは習慣と信頼って、あまりに地道。
それが私はやたらと気に入ってしまった。
まどろみの中の時間に戻りたいけど戻りたくないような気持ちも、
失ったはずなのに何も変わらないような気持ちも、
全てが変わったように見えてもどうにか生きていけるという気持ちも、
何だかとても分かるような気がしたし。
映画の中で花火の向こうに霞んで見えた、
彼らの「ゴールデンスランバー」は、きっと誰にでもある。
たとえ過ぎて消えてしまったようにみえても、
そのとき一緒に過ごした人たちの心を、
静かに つないでいるんだろうな。
The Beatles「ゴールデン・スランバー」
が収録されている「Abbey Road」
映画「ゴールデンスランバー」
主演:堺 雅人
音楽:斉藤 和義
原作:伊坂 幸太郎


