第4世代主力戦車 | 戦車兵のブログ

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20世紀の内にも登場するはずであった「第4世代主力戦車」は未だ模索の段階であり、世界的な定義は決定していない。

 

これは東西冷戦の終結によって、正規戦が起こる蓋然性が低下し、各国の新型戦車開発が停滞しているからである。

 

同時に、戦車開発史上もっとも一般的な手法であった、「サイズを拡大することで戦車砲の大口径化と防御力向上を達成する」ということが困難になったからである。

 

 

なぜならば、物理的条件から70tを超えるような戦車は輸送や装甲の追加が困難で、走行可能な地形にも制限がかかるなど、主力戦車としての運用に支障が出るのである。

 

この問題を解決するために、サイズ拡大によらない性能向上が模索されている。その一つに有人車両からコントロールする無人のロボット僚車や戦車機能を数両で分担するなど斬新なアイデアも提案されている。

 

 

サイズの縮小によって軽量化を達成した戦車は東側戦車、ルクレール、10式、K2が該当し、現代の西側戦車の60トン後半の重量に対し、これらの戦車は60トン未満の重量となっている。

 

米国のM1A3計画のように軽量化に追従するものも存在する。

 

 

2010年度に装備化された10式戦車では、可視系の視察照準にハイビジョンカメラを用いたモニター照準方式を世界で初めて戦車に採用、複数の目標を同時に捕捉識別する高度な指揮・射撃統制装置に加え、リアルタイムで情報を共有できる高度なC4Iシステムなどを装備しており、例えば小隊が複数の目標を同時に射撃するときシステムが最適な目標の割り振りを自動的に行って同時に発砲したり、小隊長が小隊内の他の戦車の射撃統制装置をオーバーライドして照準させることも可能である。

 

また、1990年度に制式化された90式戦車では実現困難だった水準の小型軽量化を実現し戦略機動性が向上、戦術機動性も油圧機械式無段階自動変速操向機 (HMT) の採用により向上した。

 

 

戦車以外の中軽量級の戦闘車両の開発では、プラットフォームの共通化によって開発、生産、運用といった面での経費節減と運用効率向上を図ることがあったが、ロシアではアルマータと呼ばれる装軌車両用の共通車体プラットフォームを基に次期主力戦車T-14の開発が進められている。

 

 

T-14は10式戦車と同じく車長と砲手の視察照準にはモニター照準方式が採用されていると考えられ、長山号やアメリカ軍のArmed Robotic Vehicle(ARV) 等とは異なり有人戦車だが乗員を必要としない遠隔操作モードが試験段階にある。

 

 

一方、ドイツではウクライナ問題の影響から戦車の配備数を増やし近代化改修を進める動きがあり、T-14の配備がドイツとフランスの次期主力戦車計画にどのような影響を与えるか今後の動向が注目される(ドイツとフランスでそれぞれ配備中の主力戦車レオパルト2およびルクレールの後継機開発計画であるEMBTでは、新規開発の130mm滑腔砲搭載により攻撃力の向上を図り、68トン積載可能なレオパルト2A7からのシャーシ及びエンジンに、自動装填装置を備え乗員2名のルクレールの砲塔を併せることで、軽量化に伴う機動力の向上が見込めるとされる)。 

 

 

 

各国の技術開発・研究などから、戦車は将来的に以下のような発展をみせると予想されている。