迫力あるM1エイブラムス戦車の実弾射撃映像 | 戦車兵のブログ

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元陸上自衛隊の戦車乗員である戦車兵のブログ
北海道在住でマニアックなメカとしての戦車じゃなく、戦車乗りとしての目線から自衛隊や戦史、戦車を見る!!。
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米軍って戦車射撃の戦車の中を公開しているけれど、自衛隊では戦車内の撮影は禁止だからこういう映像はないよね。

 

動画を観ていて陸上自衛隊の90式戦車、10式戦車は自動装填装置があるため装填手は乗っていないが、74式戦車までは装填手が乗っていた。

 

 

動画では装填手が戦車砲弾を装填する前に閉鎖器を簡単に手で開けているのが印象的だった。

 

74式戦車の閉鎖器は50キロあり、閉鎖器開閉レバーで開けなければならなかった。

 

私は閉鎖器の開閉に困ったことはなかったが、体重が軽い者や腕力の無い者は閉鎖器を開けるのも大変だったようだからね。

 

私の同期は50キロの体重も無かったのが居て、閉鎖器開閉レバーを付けた状態でぶら下がっても閉鎖器が開かなかったのを見たことがある。

 

 

砲弾だって決して軽くはない。

 

体力というか腕力が無いと戦車乗りは務まらない。

 

動画を観ていてそんなことを考えてしまった・・・・。

 

自衛隊に入隊する動機に「戦車に乗りたいから」というのをよく耳にする。

 

ちょっと嫌なことを書くけれど参考までに知っておいて欲しい。

 

 

戦車に乗りたいから自衛隊に志願してもほとんどの人は戦車に乗れないし見る機会も触る機会もない。

 

戦車あるあるで「戦車に乗りたいと熱烈希望する新隊員は機甲科へ行けない」だ。

 

機甲科へ希望しても適正検査で適正がないと無理だし、希望したから行けるなんてものではないからだ。

 

もちろん適正があっても運悪く「枠」が無ければ機甲科へは行けない。

 

戦闘職種なので体力がなくてはならず、頭も悪い者はダメなのは当たり前で狭き門なのである。

 

希望者も多いのに戦車の削減で戦車部隊の縮小が進み、従来戦車乗員だった者が他職種への転科や転属を余儀なくされているので「枠」が無いのだ。

 

 

運よく機甲科へ行けたとしても戦車に乗れるのは後期教育までかも知れない。

 

機甲科は戦車だけではないのだ。

 

機甲科には偵察職種もあるし、昨今では水陸機動団の水陸両用部隊だったり、機動戦闘車部隊もあって戦車乗員になれるとは限らないからだ。

 

戦車が大幅に削減される現在、運良く戦車部隊に配属されても戦車に乗れるとは限らない。

 

戦車部隊には通信職種、補給職種、偵察職種、昔は整備職種もあったのだが今は武器科に編入されてしまった、戦車に乗らない機甲科隊員も多いのだ。

 

 

戦車に乗りたくて自衛隊に入ったのに戦車に見ることも触ることもないという隊員は物凄く多い。

 

そして戦車が好きだから熱烈希望したからという理由で戦車乗員になっている者は意外なくらい珍しい。

 

だから民間軍事用語の「同軸機銃」「主砲」なんて言ってる「マニア・オタク」は少ないためそういう言葉が戦車部隊内で流通せず戦車乗りは知らないというのも「戦車あるある」なのだ。

 

つまり戦車が好きで入隊しても戦車に乗れるとは限らないということだ。

 


 

そういう隊員は「戦車乗員」を嫌う傾向にあるのも自衛隊退職後に知った。

 

元戦車乗りであることを言うと嫌な顔をされることがある。

 

戦車乗りに対する羨望と嫉妬である。

 

戦車乗りにいろいろ話かけて戦車知識をぶつけてくるのだが「同軸機銃」という言葉すら知らない戦車乗りに「俺の方が戦車愛が強いのにどうしてこんな奴が・・・」と腹が立つらしい。

 

戦車乗りに民間軍事用語で語りかけても言葉すら通じず、戦車の世界を知ることも出来ない。

 

戦車乗りはそういうマニアやオタクが嫌いなのがとても多いのだ。

 

 

それと機甲科の戦車の社会は物凄く狭い。

 

必ず戦車乗りはどこかで戦車乗りと繋がっているものなのだ。

 

私の一族で陸上自衛隊に入隊した者は全員機甲科だ。

 

機甲科しかいない。

 

適正というか性格的なものとか合うのは遺伝的なものもあるのだろうか?

 

実際、戦車部隊に居ると親も戦車乗り、兄弟も戦車乗り、親戚も戦車乗りというのが物凄く多い。

 

 

以前は機甲科の戦車職種は駒門の第一機甲教育隊で機甲科陸曹教育をやっていたこともあり、全国から機甲科の陸曹候補生を集めていたのだ。

 

そのため他職種のような各方面隊の第〇陸曹教育隊で同期なんてことは無く、独自の文化が陸自内にあった。

 

なので余計他職種に行った戦車好きの隊員は戦車乗りと接触する機会も少ないのだね。

 

そういうこともあるので戦車に乗りたいからという理由での入隊はお勧めしない。

 

ある戦車部隊では年間に戦車乗員になれる新隊員は5名もいないそうだ。

 

パイロットになるのには航空学生とかあるけれど、戦車乗りになるためのに入隊前から戦車乗員への道は無い。

 

職種の希望はどこの社会へ行っても希望通りじゃないし、戦車のある駐屯地は田舎ばかりだから現実的に陸上自衛隊の華でも華々しいものではないからね。

 

 

上の動画を観て戦車射撃場がコンクリートの地面で行われている。

 

これは戦車って路面を破壊するから射場整備も楽だしいいのだが・・・・。

 

路面が良い状態の射撃ばかりじゃないのが実戦ではどうなんだろうね。

 

コンクリートの路面は滑りやすいが、陣地進入は楽だ。

 

安全管理だったり使い勝手を考えるとこの方がいいのかなとも思うし・・・・。