アメリカ空軍のKC-10エクステンダー空中給油機から燃料補給を受ける航空自衛隊のF-15Jイーグル戦闘機。
2021年6月23日、アラスカ上空でレッドフラッグ・アラスカ21-2に向けて飛行する航空自衛隊F-15Jイーグル。 レッドフラッグ・アラスカは太平洋空軍が主催する演習で、アメリカ軍と同盟国軍に戦闘機での現実的な空中戦闘訓練を行った。
アメリカ・アラスカ州で実施されていた演習「レッドフラッグ・アラスカ21-2」が2021年6月25日(金)終了した。
アメリカ太平洋空軍が主催、航空自衛隊や韓国空軍が参加した演習で、2019年以来2年ぶりに開催された。
2020年は新型コロナウイルスの影響で演習が中止されており、2年ぶりの訓練は参加した隊員に多くの貴重な経験が出来た演習となった。
KC-10はアメリカ合衆国のマクドネル・ダグラス社が開発した空中給油・輸送機である。
愛称は“エクステンダー(Extender.拡張するもの、の意)”。
2013年までにアメリカ空軍で運用されている。
アメリカ空軍は空中給油機KC-135を1950年代から運用してきた。
戦略爆撃機部隊を擁していたアメリカ空軍においては、KC-135は有能ではあるものの、その運用結果から、空中給油機は大型である方がより有効であるということが認識されるようになっていた。
また、1973年10月に発生した第四次中東戦争において、アメリカ合衆国はイスラエルに対し大型輸送機を用いて緊急軍事援助を行った(ニッケル・グラス作戦)。
この際に、アメリカ空軍の輸送機はヨーロッパ各国から着陸・給油を拒否される事態となった。
これにより、輸送機は空中給油によるアメリカ本土からイスラエルまでの長距離飛行を強いられ、搭載量を制限せざるを得ない事態もあった。
これらの事態を踏まえ、1976年より大型の空中給油機の開発を行うATCA計画(Advanced Tanker/Cargo Aircraft:先進空中給油機・輸送機計画)が開始された。
C-5、ロッキード L-1011、ボーイング 747、マクドネル・ダグラス DC-10の4機種が比較検討された結果、1977年12月にDC-10が選択され、「KC-10」として開発されることとなった。
空中給油機としての能力に並立して貨物輸送能力が重視されているのは、航空機部隊を遠隔地に派遣する際に空中給油を行いつつ、同時に支援要員・物資も輸送できることで、航空機だけではなく部隊そのものを丸ごと移送させることができる、という利点が求められたためである。