砲弾は、大砲に使用される弾丸のこと。複数の種類が存在し、目標・目的によって使い分けられる。
陸上自衛隊の定義では「口径20mm以上の弾丸」のことで、それ未満のものを小火器弾薬とする。
日本語の「砲弾」の場合は、大砲用の弾丸を広く含めるが、英語のシェル"shell"は、本来は炸薬が詰まった種類のもののみを指し、炸薬が詰まっていない弾丸についてはショット"shot"と呼び分けていた。
現在では炸薬の入っていない徹甲弾のようなものも、"shell"と呼んでいる。
なお、1868年のサンクトペテルブルク宣言は、小口径の弾丸には炸薬を詰めることを制限しており、「量目400g以下」かつ「爆発性または燃焼性の物質を充てたる発射物」の使用を締約国間のみの戦争では禁止している。
今回は戦車の徹甲弾について紹介する。
徹甲弾は、装甲に穴をあけるために設計された砲弾である。艦砲・戦車砲・航空機関砲等で用いられる。
弾体の硬度と質量を大きくして装甲を貫くタイプと、逆に弾体を軽くして速度を高めて運動エネルギーで貫くタイプ(HVAP, APDS, APFSDS)が存在する。
初期の徹甲弾は、艦砲で発達が始まり、「相手の装甲より硬く、そして充分に重い砲弾をぶつけてやれば装甲は破壊できる。さらに矢のように先端を尖らせておけば突き刺さりやすい」と言う思想で開発されていた。
そして敵艦の舷側装甲水線部を打ち破ることが目的とされた。
しかし、表面硬化装甲が開発されると、正撃の場合は弾体が砕け、斜撃の場合は砲弾が滑るという事態が発生するようになった。
これにより日露戦争時頃には戦艦主砲砲弾の対戦艦貫通力は不足した。
そのため、先頭を丸くし、金属板や軽金属で作られたキャップを取り付けることで、着弾時の衝撃による弾体の破壊を防ぎ、装甲への食い付きを良くした被帽付き徹甲弾が開発され、以後の主流となった。
また加工された被帽は着弾時に潰れながら、装甲表面硬化層に対して破砕を及ぼし、弾体の貫通を助ける。
これらにより艦砲の砲弾は第一次世界大戦頃には貫徹力(貫通力)が増大した。
大砲および装甲と共に発達してきた砲弾であるが、第二次世界大戦中のドイツ軍のレクリング有翼弾や、日本軍の九一式徹甲弾、アメリカ軍の大重量砲弾(Super Heavy Shell, SHS)で一つの頂点に達したと言える。
鉄(鋼)の装甲を貫く徹甲弾の材質は特に強靭性が求められる。
徹甲弾は、金属板や軽金属で作られた被帽と鋼鉄で作られた弾体から構成される。
弾体の中に少量の炸薬を詰め込み、貫徹後の内部破壊を期待する徹甲榴弾も用いられる。