陸自の歌姫鶫1士、入隊1年目で注目されている。
音楽隊はプロの音楽家とも言えるだけに難関だ。
普通に入隊して音楽科を希望しても入れない、枠があっても自分の希望する楽器の枠がなければ入れないし、音楽科を希望して入隊しても音楽隊員になれるという保証はない。
音楽隊員になりたくて音楽科に行けなければ普通科の隊員となって戦闘訓練の毎日となる場合だってある。
陸上自衛隊は入隊前から職種を決めて入れる制度がないからね。
もちろん戦車に乗りたくても乗れるなんて思わない方がいい、機甲科へ進んでも偵察隊や補給、通信等に配属されることもあるからね。
そういう意味でも稀な制度で入隊してきたという鶫1士は陸上自衛隊の至宝なのかもね。
以下産経ニュースより転載
陸上自衛隊中部方面音楽隊(兵庫県伊丹市)で、昨秋誕生した初のボーカリストが華やかな歌声で人々を魅了している。
大学院まで声楽を学んだ1等陸士の鶫(つぐみ)真衣さん(27)は、人を救う自衛隊に感銘を受けて入隊。
厳しい訓練をこなしながら、西日本各地で公演を重ねている。
デビュー1年目の「陸自の歌姫」は「歌で人の心を救いたい」と話している。
鶫さんは中学2年のとき、NHK番組「おかあさんといっしょ」の「うたのおねえさん」に憧れ、声楽を始めた。
出身地の金沢市内にある音楽コースがある県立高校に進み、国立音楽大(東京)、洗足学園音楽大大学院(神奈川県川崎市)で声楽を専攻。
大学院生のときに出演した演奏会で、会場に来ていた自衛隊員から陸自がボーカリストを募集していることを知らされた。
「人のために歌う仕事がしたい」と思っていたため、東日本大震災の被災地などで救援活動を行う自衛隊の姿を見て採用試験への挑戦を決意。
海上自衛隊東京音楽隊の定期演奏会で三宅由佳莉さんの歌う姿に感動したことも背中を押した。
平成26年3月、陸自初の声楽要員として採用された。
入隊後、厳しい教育訓練が待っていた。
「もともと運動は全くだめ。腕立て伏せは1回もできなかった」。
射撃やほふく前進に加え、ランニング3キロと腕立て伏せ30回を毎日こなす訓練に、最初の1カ月は毎朝「辞めたい」と思った。
入隊から約2カ月半後、東富士演習場(静岡県)で行われた野外訓練に参加。
25キロ行軍では約20キロの装備品を背負って歩いた。
疲れ果てて乗ったトラックの中で、同期隊員から「歌ってほしい」と求められた。ディズニー映画の劇中歌など3曲を歌うと、涙を流して感動してくれた。
「訓練では足を引っ張ってばかりだったけど、自分の歌で一瞬でも幸せな気持ちになってもらえた」。
自分の歌が人の役に立てたことがうれしかった。
同年10月、中部方面音楽隊に配属。
1週間後、同音楽隊がある伊丹駐屯地の隊員約1千人の前で、英国のソプラノ歌手、サラ・ブライトマンの「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」を歌った。
歌い終えると、力強い拍手がわき起こった。
音楽隊の任務の一つに自衛隊員の士気高揚があると教えられたが、身をもって感じた瞬間だった。
音楽隊は東海から四国まで2府19県で演奏活動を行う。
これまで出演した会場は約50カ所。今年4月、マツダスタジアム(広島市)で行われたプロ野球・広島-巨人戦の試合前に国歌を独唱した。
8月28日には、兵庫県伊丹市内で開かれる同音楽隊のコンサートに出演する。
鶫さんは「自衛隊の任務は国を守り、人の命を救うこと。
その中で音楽隊員は人の心の傷を癒やし、勇気づけることができる。それが音楽隊の魅力です」と話している。
http://www.sankei.com/west/news/150725/wst1507250058-n3.html
(産経ニュース)
鶫1士は大学院を出ている。
正直に言うと大学院まで出て2士からの入隊というのはもったいないね。
仮にこのまま自衛隊に残ったとしても、陸曹候補生試験に選抜され厳しい陸教での教育があるし、幹部候補生試験を受けて幹部に選抜されても同様に厳しい教育訓練が待っている。
予備自衛官補なんて専門職なら陸曹にも幹部にも大した訓練をせずに階級を指定されるのだから、こういう専門職でしかも大学院を出た逸材ならそういう形で入隊させることはできなかったのだろうか?
音楽科は他の職種と違い定年が60歳と長い。
陸上自衛隊はこれからも歌姫の募集をするのだろうか?
最近音楽隊の演奏を見て女性隊員の数がとても多くなったが、そのうち女性隊員ばかりになってしまわないかと思ったりした。
土日祝日にも動員されることの多い音楽隊、音楽科希望の人は地本によく確認して志願した方がいいね。