最新鋭の10式戦車に注目が集まる中、90式戦車を取り上げてくれる記事。
北海道に集中配備されているせいか北海道以外では余り馴染みがないのかもね。
北海道ではもうほとんど90式戦車なのだが・・・。
以下産経ニュースより転載
今年5月に北海道の陸上自衛隊東千歳駐屯地を訪れた際、自衛官に「戦車ってどれくらいスピードが出るか知ってますか?」と聞かれた。
「分からないが、速いイメージはない」と答えると、目の前にある戦車に試乗するよう促された。
およそ50トンの戦車が急加速し、時速70キロで走る。予想外のスピードと振動に面食らっていると、自衛官は「走ったまま1~2キロ先の標的だって確実に打ち抜けますよ」と得意げに語った。
試乗したのは「90(きゅうまる)式戦車」。陸自の戦車としては「61式」「74式」に次ぐ第3世代に当たる。
1990年に正式採用されたことから「90式」と命名された。
旧ソ連による北海道侵攻を想定していた冷戦時代、「北の守り」の要として「全てにおいて最先端技術を盛りこむ」という方針のもと研究開発が進められた。
陸自関係者の間では「当時は列強のどの戦車にも劣らない傑作」との呼び声も高い。
第4世代の「10(ひとまる)式戦車」が登場する直前の平成21年度までの間、61式戦車の全てと74式戦車の一部を更新するため341両が配備された。
1両あたりの調達コストは開発当初は11億円ほどだったが、最終的に約8億円に落ちついている。
標準主砲は44口径120ミリ滑腔砲。照準具安定装置や熱線映像装置、各種センサーと連動したデジタル計算装置などを備え、悪条件でも高い命中精度を誇る。
前モデルの74式に比べて射撃の際の属人的要素が大幅に排除されたことから、「射手のレベルが落ちる」との懸念が出たほどだ。
74式までは弾を手動でこめていたが、90式では自動装填装置を備えた。これに伴い、乗員は4人から3人に削減。
効率的な人員配置も可能になった。
最高速度は74式の時速53キロから70キロに跳ね上がった。
防御力にも優れる。
砲塔と機体の装甲には新素材の複合材を採用して耐弾性を向上したほか、側面防護のため「スカート」を装備するなど生存性を高める工夫が施されている。
22年には、より軽量で打撃力、防御力に優れる10式が登場した。
ハイテク電子機器を満載し、高い射撃の命中精度を誇る。陸自戦車としては初めて、C4Iシステムを搭載。
他の戦車や普通科(歩兵)部隊と情報を共有し、瞬時に味方と敵の位置を識別して連携の取れた作戦行動が可能になった。
技術革新を続ける陸自の戦車だが、その重要性は低下しているという指摘もある。
冷戦時代の旧ソ連の脅威は薄れ、現在では中国による海洋進出や北朝鮮による核ミサイル攻撃が新たな脅威として台頭しているためだ。
それでも国防に「万が一」は許されない。ロシアのショイグ国防相は8日、ウラジオストクで軍の幹部に対し、北方領土を含む島々で計画している基地や施設の建設を現在の2倍の速さで進めるよう指示した。
ロシア陸軍による極東地域での演習頻度も再び高まっている。
北の守りに、90式戦車の抑止力は不可欠といえる。(政治部 石鍋圭)
(産経ニュース)
装填手がいなくなったことで「効率的な人員配置も可能になった」というのはどうだろうか?
単に人員削減しただけの話で戦車の運用全てを語ってはいけない。
何故なら戦車は射撃や戦闘する時だけで考えてはいけない。
戦車から降りたら戦車の掩体掘り、歩哨などの警戒、偵察・斥候、戦車の整備、通信傍受などやることがいっぱいある。
人一人減ると負担は大きくなる。
そして装填装置そのものの欠陥は余り知られていない。
この辺はなんとかしないといけない。