尖閣領空侵犯に「マニュアル」 空自着手、中国機念頭に強制着陸手順 | 戦車兵のブログ

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今まで当たり前のように警告射撃とか強制着陸とか出来ると思っていた人も多かったろうが、実は他国と違い日本はこういう当たり前のことをなかなかやれなかった。
冷戦下のソ連軍機は日本の領空へ毎日のようにやって来ていたが警告射撃をしたのは1度だけであり、この時も大騒ぎしてたからね。
それは国が毅然として「こうする」という方針と指示を明確にせずあいまいにして来たため現場では極力忍耐強く耐え忍んできた。
交戦規定がないこと自体おかしな話なのだから。
警告射撃は当てるぞ撃墜するぞという意思表示がなくては意味がなく、「どうせ威嚇だけ」と思われたら嘲笑うかのようなことをされるだけになる。
以下産経ニュースより転載



 航空自衛隊が外国航空機に領空侵犯された際の対応マニュアルの策定に着手したことが28日、分かった。マニュアルの策定は初めて。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の上空で領空侵犯や領空接近を繰り返す中国の戦闘機や情報収集機を念頭に置いている。マニュアルは強制着陸の実効性を高めることに重点を置いており、武器使用権限の見直しも喫緊の課題になる。

 一昨年12月、中国国家海洋局のプロペラ機が尖閣周辺の上空で領空侵犯したことを受け、空自はマニュアルの策定作業に入った。

 領海侵入には海上保安庁が対処するが、領空侵犯に対処するのは空自戦闘機だ。しかし、パイロットの権限は警告射撃と強制着陸命令に限定される。空自は昭和62年、ソ連軍機に警告射撃を行ったことはあるが、強制着陸をさせた事例はない。


 マニュアルでは、侵犯機を国内に強制着陸させる方法や手順を規定。中国軍機の領空侵犯をにらみ、尖閣に近い石垣空港(同市)と宮古空港(同県宮古島市)に着陸させることをモデルケースとする。

 着陸させる際、空自戦闘機2機が相手機を挟み込む形で誘導する。領空の外側に設けられた防空識別圏に接近することの多い中国戦闘機J10の搭載燃料で石垣や宮古島まで飛行させられるか見積もりを立てる。

 J10とともに領空に接近してきている中国情報収集機Y8は速度が遅い。空自のF15戦闘機が横並びでY8と長時間飛行することは難しく、多数のF15でY8を追い越しては後方に戻ることを繰り返すような誘導計画を作成。中国機のパイロットが操縦席から脱出した場合の対応策も定める。

 着陸後はパイロットを沖縄県警に引き渡し、警備態勢の強化も要請する。

 ただ、強制着陸を実行するには、相手機と同じ方向に横並びで飛行しながら前方に曳光(えいこう)弾を発射する警告射撃だけでは不十分との声が多い。空自OBは「相手に撃墜の危機感を与えることが不可欠だ。機体すれすれを狙う威嚇射撃を行えるよう武器使用権限を見直す必要がある」と指摘する。

マニュアルのポイント


・領空侵犯機を挟む形で誘導し、石垣島か宮古島に強制着陸

・着陸後はパイロットを沖縄県警に引き渡し、取り調べを要請

・県警に着陸地の警備態勢強化を要請

・中国戦闘機J10の燃料で着陸可能か見積もりを作成

・速度の遅い情報収集機Y8の誘導計画を作成

・パイロットが操縦席から脱出した場合の対応方針

(産経ニュース)

かつて海保が北朝鮮の不審船を追跡した時も、不審船は嘲笑うかのように海保を挑発し停船して銃撃までしたきた。

通常艦船の場合、戦力の彼我がハッキリしているならこんな真似はできないものだが日本はどうせ何をしても撃ってこないだろうと高を括っての挑発だったのだろう。

威嚇射撃も本気じゃないと不審船は海保をバカにしていたのではと思われる。

しかし機関砲による射撃で撃沈されて日本の本気が解ったのだろう、報道されないだけかも知れないが以後北朝鮮の不審船の話は聴かなくなった。

この時は海保の正当防衛というハッキリした射撃の根拠があっての話だが、もしあの時海保側に犠牲者が出ていたらと思うと、日本の事なかれ的姿勢はかえって日本に仇なす国を増長させ最前線にいる者に忍耐と犠牲を強いることになるのではないか。

空は海とは違い、領空侵犯する「敵」を事なかれ的に許したら本土上空まで挑発して来るかも知れない。

一度に多数の戦闘機が領空侵犯するかも知れない。

その時、現場の判断はこういう交戦規定や「マニュアル」のようなものを根拠としていなければ警告射撃一つできない。


相手が攻撃して来なければ射撃が出来ず攻撃してくればひょっとすると一撃で撃墜され反撃することは叶わないかも知れぬのだ。


正当防衛とはそういうものである。


最初から戦闘を想定していれば交戦規定もそのようにして、接敵行動も変わってくるだろう。


なめられたらお終いということを忘れてはならない。


一度なめられたらどちらかに犠牲者が出ない限り収まることはなくなるからね。