契約の前と後で責任は変わる。(大久保) | ホームインスペクターズ協会ブログ 『ホームインスペクション通信』

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こんにちは。

日本ホームインスペクターズ協会・理事で

公認ホームインスペクターの 大久保新  です。


https://ssl.jshi.org/search/detail.php?id=41


先日うかがった物件の出来事です。



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不動産取引に疎い方にはちょっとマニアな話になりますが、

よろしければ読んでみてください。

自宅を売却する場合や既存住宅を購入する場合には

必要な知識だと思います。


階段の下に入りで外壁部分を見ていると、

断熱材の隙間からなにやら見えたので

つまんでみると『じわり』水がでてきました。


この物件、築10年未満ですから

品確法でいう『雨水の浸入を防止する部分』の瑕疵として

補修をお願いできます。


買主(私達含む)-不動産仲介(買主側)-不動産仲介(売主側)-売主(所有者)-分譲業者(売主に供給した業者)


という関係で、それぞれは不動産仲介業者同士以外は

直接の契約関係にありますので、

それに則り伝言ゲームのようですが、

私達から分譲業者に不具合の伝達をお願いしました。


わたしたちが物件の症状などを分譲業者に伝えるために

関係者に許可をもらい直接話すこともあります。


ということで、私達はこれからこの家を買おうとしている

買主さんからの依頼で物件の調査をしたのですが、

売主側の仲介さん経由で売主さんから

元の分譲業者さんにこの件を

お伝えして直していただくことになりました。


めでたしめでたし。


と、言いたいところですが、

これは売買契約の締結前であったから『めでたしめでたし』でしたが、

これが売買の後に発覚するとどうなるか。


簡単にいうと引渡し後、

瑕疵担保責任期間内で発覚し請求された場合、

分譲業者の責任はなくなり売主さんの責任で直すなどの

対応が必要ととなってしまう可能性が高いのです。

そうなると売主さんはどうなるか。


自宅の売却で得た資金を元に次の自宅を購入しているケースも多く、

手元に資金が少ない状態のときに

補修などの請求をされるわけですから、

なかなか素直に対応しにくいんです。


で、もめてしまうというケースもあります。


そうならないためにも、

売主さんはあらかじめ自宅を調べておくほうが良いことは

分かりますよね。


完成している建物を全て見ることはできませんが、

劣化の進行やコンディションは

これから売るという場合把握したいものです。


理想的には不動産仲介業の方が、

この話を売主さんにすることでしょうね。


リスクを含めてお話をすればきっと理解していただけるし、

知っていて話をしないのは不親切だと思います。

自分のお客さんの利益を守るという意味でも

知らせるほうが良いでしょう。


今回のケースはたまたまですが、

買主さんが実施したホームインスペクションで、

売主さんのリスクヘッジにもなったというケースです。