いつものように何気なくテレビを見ていたら、ある番組の次週予告でこんな事を言っていました。
「スーパーマリオは認知予防になる」
僕も以前、今回のように具体的にゲーム名は挙げていませんでしたが、テレビゲームは認知予防に良いという事を聞いた事があります。それは、脳に適度な刺激を与えられる事から、とても効果的であるという内容でした。
テレビゲームはご存知の通り、ゲームごとに設定されたルールに則って楽しむものです。その時プレイヤーは、当然のように画面を見ているわけですが、見ているだけではゲームになりません。コントローラーを通して、操作出来るキャラクターに自分の意思を伝えなければならないのです。
その際、状況に応じて右に行きたいのか左に行きたいのか、はたまたジャンプしたいのかで、行動が変わってきます。
ここで問題になるのが「コントローラーの操作」です。どんなに「右に行きたい」と思っても、それに対応したコントローラーの「ボタン」を押さなければ、右にはいってくれません。対応していないボタンを押せば、左に行ったりジャンプしたりと、自分の意図した行動と違う事をします。
つまり、ゲームを楽しむためにはルールを理解する以外に、「操作方法」も覚えなければならないのです。
さらに、ゲーム中は目から入った情報を脳で処理し、適切な指示を指に伝えなければなりません。それをリアルタイムに行うのですから、脳への負荷はかなり高いと言えます。
歌手で「globe」のボーカルだった「KEIKO」が、クモ膜下出血の後遺症で「高次脳機能障害」と診断されたときに、その症状についてネットで説明を読んだ事があります。実は、それを書いている本人も脳に障害があると書いていたのですが、その方曰く、歌を歌う事が極めて難しいそうです。もっと簡単に言うと、リズムに合わせて言葉を発する事が出来ないというのです。
歌は曲を聞きながら歌うべきタイミングで言葉を発し、リズムを合わせなければなりません。さらには音程も合わせなけらばならず、それらがうまくいかないと、一般的には「音痴」と言われる事になると思います。
部位と程度にもよると思いますが、脳に障害があると、この「同時に行うこと」が難しくなるのだそうです。もう少し言い方を変えると、「並列処理」が苦手という事であり、脳が本来の力を発揮している時には、難しくて高度な行為を難なくこなしていると言えるのではないでしょうか。
「認知症」は、若年層でも発症する可能性がありますが、どちらかというと、高齢者の方に多い脳の病気だと思います。
しかし、若年者だろうが高齢者だろうが、認知症を治療するために直接脳を治療するわけにはいきません。それならば、間接的に刺激を与える事で、脳を活性化させる方法があるかと思います。
特に指は「第二の脳」と言われる部位であり、指を動かすにはゲームが最適です。楽しみながら指を動かす事が出来れば、続ける事も容易だと思います。
しかし、問題はそのゲームです。簡単過ぎればすぐに飽きてしまいますし、難し過ぎれば投げ出してしまい、どちらにしても長続きしません。簡単ではないけれど、少し練習すれば先に進める。絶妙なバランスの取れたゲームが理想なわけですが、そんなゲームが30年以上前にすでに登場していました。
その名も「スーパーマリオブラザーズ」。
認知予防に効果的と指名されたゲームです。
ゲームのルールは、主人公である「マリオ(ルイージ)」を操作し、障害物や敵をジャンプで越えて進んでいきます。敵も、一部を除いて上から踏みつければ倒す事ができます。
マリオのアクションは移動、ダッシュ、ジャンプ、ファイヤーボール攻撃(パワーアップ時)などそう多くはありません。しかし、マリオが冒険する世界は地上を始め、地下、水中、空中と、とてもバラエティに富んでおり、先が見たくなるような構成になっています。難易度も「何回もやって覚える」が基本であり、練習すれば何とかクリア出来るというレベルです。
それは、先ほど挙げた「簡単過ぎず難し過ぎない」という絶妙なバランスであり、プレイし続けるには最適なソフトです。
このゲームは1985年に発売されましたが、遊ぶのに必要なゲーム機「ファミリーコンピュータ(以下、ファミコン)」は1983年発売です。家庭用ゲーム機は、ファミコンの登場と共に一般化したと言っても過言ではなく、2年経過していたといっても、ユーザー側もテレビゲームに慣れていなかったので、まだまだ初心者が多かったと思います。
そんな環境だったからこそ、スーパーマリオはゲームに馴染みのない人でも楽しく遊べる事を目指し、そして実現したのだと思います。その偉業は、全世界で4000万本販売した事が証明しています。
さて、ここまで書いたのですから、僕も久しぶりに挑戦したいと思います。ゲームスタート。
……開始5秒でミスしてしまいました。一番最初に出てくる最も弱い敵キャラを上から踏みつけようとしたのですが、ジャンプの目測をあやまり、敵の目の前に着地してやられてしまったのです。
これは、久しぶりにプレイした事で目から入った情報を脳が適切に処理出来なくて指への指示がうまく出来なかった……など脳内で高速に分析していたのですが、後ろで見ていた嫁さんがひとこと言いました。
「ふっ、トシね」
スーパーマリオよ、高齢者を救う前に僕を救って下さい。
