とあるニュースを目にしました。

元将官のパワハラ容認とも取れる取材における発言でした。

 

記事における発言の前後があるのか分かりませんが、この発言と私が直接的、間接的にかかわった経験をもとに本記事を作成しました。

 

さて・・・、

将官ですから私のような使い捨て幹部とは違い、組織後継者として自衛隊の精強化に責任を有している立場の者になります。

精強というのは、戦闘力が高いとか、継戦能力が高いとか、隊員の士気が高いとか、そういった物的、精神的な能力が高い状態のことを指します。

 

これらは、日頃からの厳しい訓練を通じて或いは先を見据えた組織的な準備により養われるものです。

しかし、厳しさというのは肉体的、精神的な負荷を与えなければならないのは事実ですが、それだけでは精強な個人、部隊は育成できません。

 

隊員の士気と書きましたが、士気は隊員個々のやる気、意識といった内面的なものです。

このため指揮やら統率やらの言葉を用いていますが、本質を全く理解していない者が多いのが陸上自衛隊です。

強制する権限のある指揮と、部下のやる気を出させる統率、統御がセットでなければなりません。

このうち、統率やら統御について、そもそも意義すら理解していないのではないか、と思う昨今の状況。

 

件の元将官が、民間と自衛隊ではパワハラの基準が異なる(要旨)などと間抜けなことを恥ずかしげもなく記者の質問に答えており、その資質に疑問を持たざるを得ませんでした。

 

紙面の都合などから要旨が載っていたのかもしれませんが、それでもパワハラの定義を明確に理解していないのではないかも思える発言です。

 

パワハラはセクハラと異なり、その定義には受け手の認識でパワハラか否かを判断するものではありません。

指導にあたり、職務上の必要性や指導に伴う言動が適切な範疇であればパワハラには該当しません。

そこには、指導されるも者の心情だけでは判断できません。

ここがセクハラとの最大の差異です。

 

しかしながら、世の中頭の良いものはそれほど多くないので、勢い思い込みやそれに伴う憶測などから本来の意味を適切に理解できる者は結構少ないのが実態。

大衆とはそんなもので、新橋で中高年のサラリーマンに聞いても、おそらくかなりの割合で誤答すると私は確信しています。

 

繰り返しますが、厳しい訓練、厳正な規律保持のための厳しい服務指導すべてがパワハラに該当するわけではありません。

つまり指導法を工夫することで、パワハラの領域に入ることを回避できるわけです。

現場ではそうしたお題目では戦える部隊を作れない!という強い思いがありますが、直接戦闘する立場にあればそのように思うのは当然のことです。

 

ですが、そうした思いで部下を指導する際に、社会的要請であるパワハラの根絶を徹底させるのが、組織を育てる将官を始めとする、各級の部隊指揮官の責務です。

指導する側の頭が悪いと、指導に際し反抗的な態度を取られたら更に感情的な指導を行い、結果パワハラに至る、教育資料あるような典型的なパターンを生起させます。

 

「叱る」ことと「怒る」ことの違いを明確に認識しない人も多いので、そもそもここから適切な認識に対する誤りが始まるのです。

ゆとり脳は、やたらと正しいとか悪いとか、善悪に分けたがりますが(ex:悪手とか(爆))、適正か否か、適切か否かという整理の方がより柔軟に考えられると思っています。

 

将官という部下にやらせる立場の者が、民間とは違うんですとか取材で答えるなど、唖然として言葉が出ません。

こうした資質しか持ち得ない人材しかいないか、と思ってしまいます。

 

将官は営利企業の立場に例えるなら経営者層になります。

取締役会の構成員(取締役)に相当します。

 

取締役が、コンプライアンスや労働法関係法令等に反してもいいんだ、という発言をしたら消費者(国民)はその企業をどのように見るでしょうか。

このように外部目線で考えると、元陸将という自衛官OBの発言といえども、陸自は基本的にパワハラという認識を否定する組織であるということが分かってしまいます。

 

特別感を出す方向性が決定的に誤っています。

 

ただし最大限、無理くりに擁護するならば、自衛隊は諸外国の軍隊と決定的に異なる立場にあります。

軍法が無く、軍法会議という特別裁判所を持たないため、規律などに関して一般社会と同一の価値観で判断される、しないといけないということです。

 

自衛隊の主任務は、防衛省がどのように言い繕おうとも国の防衛です。

その組織力を活用し、民生の安定等、すなわち治安維持や災害派遣活動を行います。(隊法第3条)

 

すなわち、離島や本土に侵攻してくる敵に対して、実力をもって抵抗し、それを排除することです。

敵と対峙し交戦する際に、戦闘員として守らなければならない規則、ルール等を常に遵守しなければ、やらかし隊員のほか、属する分隊、小隊の仲間に被害(最悪は戦死など)が及ぶことは容易に想像できます。

 

そうしたやらかしに、命を失う、更には仲間の命を奪うかもしれない環境は、当然ですが民間にはありません。(工程的に工場などでもありますが…。)

だから陸自は厳正な規律を維持し、戦闘力を高めるためには強い指導が必要と考えています。

上官に反抗しても営倉もなく、低脂質(資質)の隊員に対する指導に限界があるのも事実です。

こうした現場が抱える矛盾や問題を解決するために奔走する、汗をかくのが高級幹部である将官の副次的な任務です。

 

そうしたことをせず(一例として情報発信)、改善に努力もしないでふんぞり返るのが陸自の将官なんでしょう。

内局や法務省といった国内部と闘うこともせずに何を言うか、と。

現実的には、何を吠えようとも、パワハラの定義は絶対に変わりません。

むしろ陸の因習(伝統ではないです)を早期に健全化させろといわるのがおちです。(現にそうなっています。)


本質的には改憲をしなければ、現場が抱える根本的な矛盾点を解消させられないと思う一方、文化や国民性等を考慮するとイジメは根絶できないとも思っています。どこの軍隊でも同じことですが。

 

 

常々思っていることは、パワハラとは個人を尊重するキリスト教圏(西洋社会)の考え方(価値観)です。

村社会であり、個人より集団の和や価値観を優先する日本とはそもそも文化が異なっています。

また、長幼の序、親と子、といった儒教の教えに基づく関係性ら価値観を持つため、社会的な個の自立・自律自体を促す社会でもありません。

 

こうした異文化の価値観を組織が受け入れるには、どちらにしても組織のトップの強力なリーダーシップを発揮し、継続して情報発信を行い、その実況状況等を直接目で見て確認する必要があります。

 

 

翻り、今回は記事の発言はあまりのお粗末すぎます。

組織が変われば、パワハラの態様も変わります。

セクハラのように画一的なものではないことを、もう一度受けから教育し直したほうが良いでしょう。


頭が悪い、固いと、どうしてもパターン化したくなります。

その方が教育に際して楽だから。

パワハラは、同じような態度や言動で接してもパワハラに該当するケース、しないケースが容易に考えられます。

その際、差異はどうかかったところにあるのかを特に曹士に教え、理解させるのは相当骨が折れるでしょう。


固定観念が強い者や理解力が乏しい者ほど、自分が経験していた手法、態度で部下に接しがちです。

怒鳴るのは一番基本的と思い込んでいるか、無意識に行っています。


怒鳴ることについては、以前事務次官からアンガーマネジメントについて、全隊員に対してメールが発信されたことがありました。

陸自内では全く受け止められていないようです。

(普通科の全隊員にメールアドレスは付与されていなかったと記憶しています。基本的に不要ですから。現在はとうでしょうか。)


演習で、訓練において、不安全行為などから周囲の者も巻き込む事故(武器事故など)を起こしかけた際、怒鳴らず、身体接触なしに指導するにはどうしたらよいか、大学院のMBA課程におけるケーススタディと同じように、陸自全部隊(人員規模から小隊レベル)内で実施させたらよいのではないか。

後輩のいる2士なら立派な対象者です。

 

 

現在、ニュースで頻繁に取り上げられるパワハラ等ですが、これらはパワハラ事案に等に対する処分が行われましたよ、というもの。

事案自体は概ね1~2年ほど前になります。

 

事案に対する懲戒処分を迅速的に行えないのが陸自。

ネットではボロクソに言われていますが、基本的にその通りです。


陸自は全てのことに必ず計画書を作成させる等、能率性をなどは一切考慮しません。

例えばあるパワハラ事案について、被害者からの聞き取り、加害者への聴取、目撃者の証言、直接的な証拠、傍証などから懲戒基準に抵触するとなれば淡々と懲戒委員会を経て、部隊長などによる処分を行えば済むにも関わらず。

ムラとムダが多いため、迅速な決断をする文化ではありません。軍政面では特にそれが顕著なため、処分にのんびり時間をかけていると言われても反論できません。


また、そもそも部隊の意識、認識が歪んでいる場合もあります。

北海道警察所属巡査長による北海道警察の告訴も、組織の歪みの結果このような形になってと考えています。


閉鎖的な組織にありがち。

国防が、治安が…と知識の御旗の如く振りかざし、自分たちの正義を全く疑わない成員が多く構成している組織ほど、ささいな変化に抵抗します。

改善する組織上層部の強い意志が最低限必要です。


 

だらだら書いてきましたので、最後にまとめて終わります。

 

1 パワハラは、被指導者(部下)の主観だけでは判断できない。

  業務上、厳しい指導は、その発生した態様によってはパワハラに該当しない場合もある。

  (適正な範囲とはケースバイケースなので、全てを画一的線引は困難。)

2 日本の文化と西洋の文化の差異により、個人を尊重する意識が希薄。

  (どこぞに、「人格を尊重」という一文があるのに。)

3 伝統と因習の違い明確に認識する。

  本文には書いていませんが、陸自は外からの目線で自分たちを見つめることが出来ません。

  帝国陸軍の根拠のない敵軍(動向、戦力等)の分析と同様に自己中であり、夜郎自大です。

  ある一面では、組織の歴史が連綿と続く警察と同じ匂いがしています。

 

 

アメリカ海兵隊、フランス陸軍外人部隊、こうした精強な軍隊ではパワハラが常態しているのでしょうか。

全く無い、ということは考えにくいですが、少なくとも陸自レベルでは発生はしていません。

厳しい訓練や規律を維持するに際し、パワハラは必須の要件ではないはずです。

 

パワハラが発生する現場の責任者である、3佐や1尉といった中隊長や中隊の先任クラスの准曹が主力となり、粘り強く意識改革をさせないといけません。

たとえ組織上層部や大隊指揮官より上の指揮官が無能でも、現場レベルでリコメンドできるのは上記の人たちです。

使命感を歪ませず、いついかなる時でも「教え諭せる」ようにするにはどうするか、頭を悩ませ無いといけません。

なぜなら、組織が動かない場合、パワハラを発生させてしまえば、最低でも2名の部下を失いかねません。

貴重な戦力を平時に無駄に消耗させないために何ができるか、中隊長室や中隊事務室でよく無駄話をするべきです。

対処療法でしかありませんが…。

 

中隊という言葉が出てきましたので、思い出したことあります。

「中隊の名誉のために・・・」と、射撃だったり武道の競技会関連の朝雲の記事でよく目にします。

中隊のためではなく、中隊の名誉のため・・・。

陸自では全く違和感はありませんが、今回の記事の視点で考察すると違和感しかありません。

 

村社会。


その一方、中隊の指揮官に補職されると、中隊長に「上番」したとか発言したり書いたりしていますが、中隊長の職は当直ではないので本来不適切ですね。

一時的だから、というのであれば、幕長も上番したとか下番したか言うでしょうか。(たぶん)言いませんよね。


職を軽く考えているか、何も考えず先輩が言っているから使っているのか。

何れにしても補職されると、日命で特別勤務に就くのとは意味合いが違うことを理解していない幹部が多いのは事実。

 


今日、組織にはまず初めに個の尊重があり、次いで組織がある、という考え方。

帝国自衛隊にそうした考え方を上辺でなく内面から受け入れることができるでしょうか。

 


出来ない理由の一端を述べましたが、文化の差異を乗り越えられるのか。

「ゆとり脳」の隊員が増えることで、この価値観が崩壊するのかという期待が私の中の一部にあります。

 

外から自分を見てみよう。

成果の出ない婚活女子って陸自と同じ志向だなと感じました。

 

客観視が出来ない、自分を取り巻く状況が理解できない。

男性の平均年収や、求める理想像など、昔と大きく変わっています。

変化に対応できなければ、個人も組織も劣化していきます。


昔美人で、もてていたから今でも大丈夫。

しかし、分かる人は適時適切にリコメンドしていますよね。

 

 

文字数が4千文字を超えましたので、ここまで。

パワハラに関しては、人により理解は様々かもしれません。

また、陸自という組織についての評価も、中の人、外の人でも大きく異なるかもしれません。

 

今回の記事は、パワハラの続発に対して、「組織として明確に歯切れよく根絶します!」と言わない側面を主に取り上げました。このた内容を押し付ける気も、絶対的正確性を有しているとも思っていません。

冒頭に書きましたように、私の直接的・間接的な経験(知見)と昨今のニュース等から記述したものです。

 

 

やらかすダメな隊員もいますが、まともな良い隊員も多くいることを最後に申し添えます。

婚活相手として、辺りを掴むかハズレを選ぶかは、女性次第です。

 

誤字脱字はご容赦ください。

 

以上