D-STAR QSO PARTY 2023 という交信イベントがあります。このイベントでは画像伝送により画像交換を行うと大量ポイントが狙えるため、これを機会に画像伝送の手順を復習しておきたいと思います。

 

画像伝送を行うには、大きくわけて2つの方法があります。一つは、無線機本体が画像伝送に対応するモードを持っているものの場合、もう一つは、スマートホンアプリから通信ケーブル等を経由して伝送する場合です。それぞれに分けて概要をまとめておきます。

 

1. 無線機本体の画像伝送モードを利用する場合

 

この方法に対応する無線機は、ID-52, IC-9700, IC-705, IC-905, ID-50 です。伝送する画像をあらかじめトリミングアプリ ST-4001W/ST-4001A/ST-4001I (ID-50は専用アプリ ST-ID50A) で作成し、無線機本体のSDカードへ転送します。このとき、アプリと無線機の組み合わせにより伝送方法が異なり、少し複雑ですので表にまとめておきます。

 

表1 トリミングアプリST-4001による方法

機種 Android スマホ iOS (iPhone等) Windows PC
(使用アプリ名) ST-4001A ST-4001I ST-4001W
ID-52 Bluetooth Bluetooth (接続機能なし)
IC-705, IC-905, IC-9700 LAN LAN LAN
※IC-705 は Bluetooth を持っていますが、トリミングアプリによるBluetooth経由の転送はできない仕様のようです。
 
ID-52でBluetooth接続を行う場合、あらかじめ端末と無線機の間で「ペアリング」をしておく必要があります。ただし、「接続」はアプリ側から行うため、機器側では行う必要はありません。(実際、機器側の「接続」操作は成功しません。)

 

ID-50はBluetoothもLANも接続できないため、USBケーブルを接続して専用アプリ ST-ID50A/ST-ID50W を用いて画像作成・無線機内microSDカードへの転送が可能になっています。(なお ST-ID50 は、2023年12月現在 iOS版は無いようです。)

 
また、これらの無線機ではいずれも、トリミングアプリにより作成・保存した画像データを何らかの方法でSDカードに直接書き込み、伝送に使用することも可能です。その場合、「接続」は不要となります。
 
2. コントロールソフトウエア RS-MS1を使用する場合
 
Android/iOS 端末(スマホ等) を無線機に接続し、端末側のアプリから操作して画像を伝送する方法です。この方法はD-STARに対応した多くの無線機で実行することができます。接続方法は以下の3通りで、各機種ごとに対応する方法で接続します。
 
1) Bluetooth (RS-MS1A/RS-MS1I 対応)

対応機種: IC-705, ID-52, ID-5100(要BTユニット UT-133), ID-4100(要BTユニット UT-137), TH-D74

1. の ID-52 の場合と同様、端末と無線機の間であらかじめ「ペアリング」のみ行っておく必要があります。
 
2) USBケーブル (RS-MS1A のみ対応)

対応機種: ID-50 (ID-52, IC-705 も対応可)

端末と無線機を普通のUSBケーブルで接続する方法です。端末側にUSB-OTGケーブルが必要な場合があります。

 

3) データ通信ケーブル(OPC-2350LU 等) (RS-MS1A のみ対応)

対応機種: IC-9700, IC-7100,  ID-51Plus2, ID-51Plus, ID-31Plus, ID-51, ID-31 など

端末と無線機をいわゆるUSB/CI-V変換ケーブルで接続する方法です。

 

全体のまとめとして、QSO PARTY のように特定の画像のみを送信するだけであれば、無線機本体の伝送モードを使うのが簡単かつ確実と思われますので、表1の機種では、あらかじめ作成した画像データをトリミングアプリST-4001で成型し、いずれかの方法でSDカードに保存するのが良いと思います。一方、2の(3)に対応する機種ではAndroid端末とRS-MS1A, OPC-2350LUなどの通信ケーブルが必須となり、すこしハードルが高いかもしれません。

 

一方、出先の様子をスマホで撮影しリアルタイムに送信したり、多数の画像を得てスマホ側で整理・加工したいといった場合は、RS-MS1Aが便利そうです。状況に応じて使い分けると良いかもしれません。