無線局の免許状のデジタル化が2025年10月1日施行されて、そろそろ1年が経ちます。当初いろいろとあった意見・混乱・誤解等も、慣れるにつれて落ちついてきた感じがしますが、改正前とくらべて大きな変化があった点について、あらためて整理しておきたいと思います。

 

まず、法令のどこに規定があるか、です。これは「電波法施行規則」の第38条に規定されています。まず第1項で、無線局の備え付け書類が表の中に定義されています。アマチュア局は「五 アマチュア局」に書かれているものが該当しますが、(人工衛星以外の一般の)アマチュア局は、「(一)免許記録」のみとなっています。

 

免許記録の備え付けの方法は、表の注1の(一)~(四)に書かれています。文面はいかめしいので少しかみ砕いて書くと、

・電子的な方法として、無線局に備え付けのPCやタブレットにより、総務省電子申請サイトにある免許記録にアクセスし、A5サイズ程度で表示させるか、そのサイトで「免許記録の写し」として提供されているPDFファイルをあらかじめダウンロードしておいて同様に表示させる。((一)、(二)の方法)

・紙ベースの方法として、「免許記録の写し」PDFをA5サイズの紙に印刷したものか、総務省に請求すると有償で得られる「免許事項証明書」を備え付ける。((三)、(四)の方法)

のいずれかが必要になります。

 

ところが、注3には別の規定があり、「移動するアマチュア局」はこちらに従う必要があります。("第一項の規定に関わらず"という文言があります。)この規定によれば、移動局の場合は、次のどちらかに備え付けなければならない、とされています。

一 送信装置のある場所(当該送信装置を用いて当該無線局を運用し、又は運用しようとするときに限る。)

二 無線設備の常置場所

 

実は、2025年10月の法令改正前の規定では、移動局の備え付け場所は「無線設備の常置場所」一択でした。それが、運用する目的で無線機を持ち出す場合はその無線機のある場所に備え付けても良い、ということになった訳です。当時、総務省から発出された解説文書にもそのことはちゃんと説明されていました。

 

(「無線局の免許状等のデジタル化等について(概要) 令和7年9月 総務省総合通信基盤局」より引用)

 

さらに、注4では、「個人が開設する移動するアマチュア局」についての特例が規定されています。上掲の総務省文書にもあるとおり、免許人が持っている携帯端末(スマートホンなどを想定)で免許記録や写しPDFを表示させたり、紙ベースの写しや証明書を携帯するのでも良い、とされています。

 

結局、全体を整理すると、まず"基本"の備え付け方法があり(=注1)、つぎに"移動局"の備え付け方法があり(=注3)、さらに"個人の移動局"のみ許される別の方法がある(=注4)、という構造になっていることがわかります。表で整理すると次のようになります。

 

移動しない局   注1の方法のみ

社団の移動する局 注3の示す場所に注1の方法で備え付ける

個人の移動する局 同上、もしくは注4の示す方法・場所で備え付ける

 

ただ、移動する局にわざわざ "備え付けの" PC等を用意するケースは少ないでしょうし、社団の場合は代表が不在だと総務省電子申請サイトへのアクセスも難しいでしょう。実用的な観点では、物理的な備え付け書類としては、「免許記録の写し」PDFを紙に印刷したものが最も簡便ではないかと思います。移動しない局は、その紙を設置場所に備え付ける、移動する局も、その紙を無線機と共にして移動するか、常置場所に備え付けておけば、法令上はまったく問題ない、ということになります。

 

個人局の場合は、PDFをダウンロードして普段持ち歩くスマートホンに入れ、いつでも表示できるようにしておけば、わざわざ紙をもちあるく手間を省けますし、移動先で運用中の不意の職務質問等でもすぐに対応することができるでしょう。

 

ベテランのアマチュア無線家と話をしていると、ときどき、免許状は常に移動運用先に携帯している、とか、免許状は無線機と一緒にしておく必要がある、などと仰る方がいますが、実際は、2025年9月以前は携帯したり持ち出すこと自体が認められておらず、「常置場所に備え付ける」の一択だったのです。それが、2025年10月以後は無線機と一緒に持ち出せるようになった・ただし従来通り「常置場所に備え付け」でもOK、ということです。また、個人移動局の特例は社団移動局には当てはまらない点にも注意が必要です。

 

なお、この第38条には、つぎの第11項も含まれています。アマチュア無線機を携帯する際は、忘れずに「無線従事者免許証」も携帯しましょう。

 

11 無線従事者は、その業務に従事しているときは、無線従事者の免許証(略)を携帯していなければならない。

(2026/9/18 追記)
まだ電子免許状を発行されていない局の場合は、お持ちの紙の免許状(有効期間内のもの)がそのまま「免許記録事項書」の代わりとなりますので、移動運用の際にそれを携帯してもOKです。