サテライト運用は外国局とつながることも多く、SAT-VUCC というアワードもあるので、私は全てのサテライト運用ログを LoTW にアップロードしています。国内でも、いわゆるレアグリッド(島しかない、岬の先端だけが唯一の陸地となる、海しかない、といった運用が珍しいグリッド)が結構あり、そういうところからQRVして頂いた方からLoTWでコンファームされると大変嬉しく思います。(こちらはいわゆる"雑魚"グリッドなので、相手局のメリットにはなりにくいのが何ですが・・hi)

 

さてサテライト運用の場合、LoTWにアップする情報は通常と少しだけ異なります。

詳しくは LoTW の help にもしっかりと書かれているのですが、英語が読めない・読みにくいという方も多くいらっしゃると思うので、概要をまとめてみたいと思います。

 

LoTWにアップするには、まずユーザー登録が必要です。このやり方は他にいくつもの参考になるサイトがありますので、ここでは書きません。日本語で読めるCQ出版のこのサイトがよく引き合いに出されますが、証明書の取り方などの記述が少々古い(今は免許状の証明書類等を「郵送」する必要はなく、電子メールですべて完結可能)ので、他にもなるべく新しい記述のサイトを検索エンジンで探して参考にすると良いと思います。

 

常置場所のコールサインの登録と電子証明書の取得が済んだら、TQSLアプリを通じてデータをアップロードすることができます。データは ADIF という型式のテキストファイルとして記述します(※1)。ADIF ファイルは、ターボ・ハムログ (Turbo HAMLOG、以下ハムログ) などポピュラーなロギングアプリから出力させることができます。ハムログの場合は、「検索条件の設定」から出力したい範囲を適宜設定して ADIFファイルに出力先を指定し、出力の条件を設定して「検索無し」で出力させればとりあえず出力できます(※2,3)。

 

(※1 コンテストログでよく用いられる Cabrillo という型式でもアップは可能ですが、衛星に関する情報の記述方法がないのでここでは扱いません。)

(※2   QSL定義ファイルを用いて出力する方法の例は 7L1ETPさんのblogここの記事にあります。)

(※3 もっと高度なやり方は,CQ Ham radio 誌 2023年1月号 にも記事が掲載される予定,という噂です・・?!)

 

大量のデータがタグ(<CALL:6> のような文字列。最後の数字は項目データの文字数を表すのでQSOデータごとに異なる場合があります)と共に出力されますが、実は、LoTWで必要なデータは1QSOあたりたったこれだけです。

 

<CALL:6>JA1***

<QSO_DATE:8>20220815
<TIME_ON:6>151200
<BAND:2>2M
<MODE:2>CW
<PROP_MODE:3>SAT
<SAT_NAME:5>FO-29

<EOR>

 

サテライト運用の場合に通常と異なるのは、下から2~3番目の2つのタグが必ず必要で、<SAT_NAME:*> のところは交信に使った衛星名を指定された通り正確に書かなければならないことです。使える(認証される)衛星のリストはここにあります。

 

このほか、次のタグ

 

<FREQ:7>145.000
<BAND_RX:4>70CM
<FREQ_RX:6>435.00

 

も加えられることがありますが、本質的に必要無い(LoTWのマッチングには無くて良い)データとのことです(※3)。時刻については UTC で書くことになっていますが、ハムログでは自動的に変換されて正しくUTCの時刻がADIFに出力されます。


(※3 最近(2022年9月),JARLのアワード申請に「LoTWのデータ」がQSLとして使えることになりました.JARLのアワードでは,衛星通信の場合にはQSLデータとして「up/downの周波数(バンド)」と「衛星名」の明記を必須としているため,最小限<BAND_RX>は記載した方が良いでしょう.なお周波数の小数点以下の数値は0で問題ありません.)


ハムログ等から出力されたADIFファイルをエディタ等で直接編集するのはかなり骨が折れる作業ですので、便利なツールを使って編集するのがいいでしょう。私は、ADIF Master というアプリを利用しています。上に書いた7つのタグに関する情報をシートの中に正確に埋め込めたら、一旦ファイルに保存します。このファイルを、TQSLからアップロードすれば完了です。

 

簡単にまとめると、サテライト運用の場合は、通常必要な上記の5つのタグのほか、<PROP_MODE> と <SAT_NAME> という2つのタグが必要になる、ということになります。更にJARLアワードへの対応として最小限 <BAND_RX>,ついでに <FREQ>,<FREQ_RX>も書いてあればなお良しです.全部まとめると,1QSOのレコードはこんな感じになります.

 

<CALL:6>JA1***

<QSO_DATE:8>20220815
<TIME_ON:6>151200
<BAND:2>2M
<MODE:2>CW

<FREQ:7>145.000
<BAND_RX:4>70CM
<FREQ_RX:6>435.00

<PROP_MODE:3>SAT

<SAT_NAME:5>FO-29

<EOR>

 

これらをADIF Master 等で編集し付け加えれば良いだけです。ハムログでは,Remark欄に書かれた衛星名等を参照して自動的にこれらのタグを付けるような工夫もできますが、初めてやる場合は,あれこれ考えずにひとまず「手動」でやってみてはいかがでしょうか。

 

移動運用をした場合については、また改めて書きたいと思います。