世の中には普通の人が持っていない不思議な能力、特殊な能力を持っていると自称している人が山のようにいるが、そうした人たちの中でも格別に卑怯なのが霊能者であるといえるだろう。
なぜ霊能者が格別に卑怯なのか?霊能力は本当であることを実証するすべがないのと同時に、嘘であることを実証するすべもまたないからである。
たとえば念動力や透視能力などの超能力なら、そのパフォーマンスが嘘か本当かはマジシャンの検証によってはっきりさせることが可能だ。
予知能力にしても来年の出来事を100個ほど予言させ、そのうち半分以上の予言が的中したら本当と認める、といったルールで検証をおこなえばおのずと真相は見えてくる。
しかし、そんな中、霊能力だけ嘘か本当かを検証するすべが存在しないのである。いくらでも口から出まかせをいうことが可能であり、人々を騙して大金をまきあげることができるのだ。実に卑怯である。
こうした意味では世紀の大嘘つきではあったものの、スプーン曲げのユリ・ゲラーやブラジルの予言者ジュセリーノなどは正々堂々とした人たちだったといえるかもしれない……。
ちなみに霊能者界の中にも“偽者の霊能者の定義”というものがあるらしく、そのうちのひとつに次のようなものがあるという。
【法外な金を取る霊能者は偽者である】
これを見た私はふと疑問に駆られた。法外な金を取る霊能者は偽者ということは、霊能者を名乗る人は多かれ少なかれとりあえず相談者から金を取っているということになるからだ。
【法外な金を取る霊能者は偽者】ではなく、もっとシンプルに【相談者から金を取る霊能者は偽者】とすべきではないだろうか?金額など関係はない。霊能者が相談者から1円として金を受け取ってはダメだろう。なぜなら霊能力というのは存在が認められたものではないからだ。
もしも霊能力が明確な証拠によって存在することが認められたものならば、その能力をいかして人々の悩み事を解決する職業としてあっていいし、それなりの報酬を受け取ってもいいだろう。しかしくり返すように、霊能力はあるのかないのかまだよくわかっていない段階なのだ。そんな段階で霊能者などというものを職業にして金を受け取るとは言語道断である。
世の霊能者を自称する人たち。あなたたちは本当に霊能力が存在するというのなら、ほかのなんらかの仕事をこなしながら霊能力の実在を証明する活動を続ければいいのではないのか?霊能力があると主張するのはいいし、人の相談に霊的な視点からのるのもけっこうである。しかし、それとは別の仕事をこなしながら生活をおくっているような人たちであってほしかった。
サラリーマン霊媒師だとか、板前スピリチュアル・カウンセラーだとか、相談者から金を一切受け取らないそういう感じの人ならば少しは信用ができるのだが、残念ながらそんな人は霊能者の中にはおそらくいないことだろう……。