先日、林家三平(元林家いっ平)が各界の著名人を招いての豪華な結婚式をあげた。
私は林家家や落語については全然詳しくないのだが、知識の棚の引き出しの奥底に眠っている記憶を掘り起こして、元林家いっ平についての思い出を軽く書きつづってみようと思う。
元林家いっ平といえば真っ先に思い浮かぶのが芸能人ねるとんで、それに出演した元林家いっ平は現野口五郎夫人である三井ゆりに告白したと記憶している。
そして告白タイムのとき、元林家いっ平はクマのぬいぐるみを差し出しながら三井ゆりにこういったのだ。
「クマらないものですが、よろしくおねがいします」
三井ゆりはこのダジャレ告白を受け入れ、受け入れた理由として『これからもつまらないダジャレを聞けると思って』と微笑みながら語っていた。
当時の元林家いっ平は、はっきりいってルックスも実績もいまひとつの冴えないタレントだった。その元林家いっ平の告白を、ルックスも経済力も兼ね備えた男たちにいい寄られ続ける人生をおくってきたであろう三井ゆりが受け入れたのである。このことで元林家いっ平のやさしく、清らかで、裏表のない好人物ぶりが理解できるというものだ。
が━━そうした人には必ず罵詈雑言が集中するもので、昔とあるゲーム雑誌の中でふたりのライターが、当時元林家いっ平がレギュラー出演していたファミコン関連の子供番組をコケにしていた。
当時、≪クロノ・トリガー≫というロールプレイングゲームが流行っており、読者から送られてきた『黒の鳥が!』というダジャレをもちいてふたり組の毒舌ライターがこのようなことを書いていた。
「『黒の鳥が!』━━今年最高のギャグだ」
「林家いっ平に教えてやろ(笑)」
このライターの人たちは今、どこでなにをしているのだろうか……。
最後に余談をひとつ。
ふたり組の毒舌ライターは元林家いっ平が出演していた番組の司会者がディズニーランドを“デズニーランド”と呼んだことをバカにしていた。しかし、たとえば“アイデア”という言葉は厳密にはアイディアというが、ほとんどの人がアイディアとはいわずにアイデアというだろう。また、デジタルという言葉も厳密にはディジタルだが、ほとんどの人がディジタルとはいわずにデジタルというだろう。
こう考えればディズニーランドのことをデズニーランドと呼んでも、別段不自然なことではないという結論に達するのだ。生半可な知識と言語力で人の発言をコケにないものである。
