ブラックマヨネーズ司会のTBSの番組に≪世界のコワ~イ女たち≫というものがある。
先日の放送ではアメリカの永遠の英雄ジョン・ケネディ大統領の奥さんであるジャクリーン・ケネディの生涯が放送され、その前半の模様を見ていた私は『ジャクリーンのこのコーナー、早く終わってくれないかなぁ』と思い続けたものだった。
というのも、以前フジテレビの≪ベストハウス123≫という番組でもジャクリーン夫人の特集が放送されたことがあり、ジャクリーン夫人がどういう人物でどういう生涯をたどった人なのかすでに知っているからだ。
ジャクリーン夫人━━彼女こそがケネディを大統領に押し上げた人であり、その超個性的独創的な発想と行動力で世の中に革命をもたらした彗星のような人物だったという。
また、ジャクリーンはその人間性も深く愛され、当時アメリカと犬猿の仲だった旧ソ連やキューバの要人たちも『ケネディには会いたくないがジャクリーンには会ってみたい』と発言したという。
そんなジャクリーンは大統領夫人になってはじめてホワイトハウスに足を入れたとき、こうつぶやいたと伝えられている。
「これから忙しくなるわね」
この言葉だけでジャクリーンの人柄が伝わってくると思われる。
それから数年後、ご存知のようにケネディ大統領は暗殺されたのだが、ジャクリーンはケネディ大統領の葬儀を中心に立ってとりおこなったという。
フジテレビの≪ベストハウス123≫でのジャクリーン夫人特集はここまでで終わりだったのだ。そのため私は出演者たちやほかの視聴者たち同様、ジャクリーン夫人にこのうえない崇敬と憧れの感情を抱いて“尊敬する人リスト”にジャクリーン夫人の名前を追加したものだった。
が、しかし、である。ケネディが暗殺されてから“アメリカの聖母”とまで呼ばれたジャクリーン夫人の本性があらわれ出すのだ。
フジテレビの≪ベストハウス123≫はケネディ暗殺後のジャクリーン夫人については触れなかったのだが、TBSの≪世界のコワ~イ女たち≫ではケネディ暗殺後のジャクリーン夫人の人生が細かく紹介されていた。
なんとジャクリーンはケネディが暗殺された5年後、『尊敬されたまま化石になるよりずっとましよ』という言葉を吐いて23歳年上のギリシャの海運王と再婚をしたのである。全世界の誰もが“伝説の英雄の妻”であり続けてくれるものとばかり思っていたため、この再婚によってアメリカ国民は完全に裏切られた気持ちになったという。
さらにである。ジャクリーンのあまりの浪費ぶりに結婚した海運王の男もあきれ返り、『ジャクリーンには自分の遺産を渡さない』とまで口にしたという。
しかし海運王の死後、ジャクリーンは約80億円の遺産をゲットしたという……。
それからもジャクリーンは再婚をくり返し、最終的にはこんなむしのいいお願いを口にしたという。
「私の遺体はジョン・ケネディと同じ墓地に埋めてください」
……“アメリカを捨てた女”にこんなお願いをされたアメリカではあったが、当時のクリントン大統領がそれを聞き入れてジャクリーンの遺体をジョン・ケネディの眠る墓地に埋めてあげたという。
ところで、なぜにアメリカを捨てたはずのジャクリーンが『自分の遺体をケネディと同じ墓地に埋めてください』などといったのか?これはゲストタレントもいっていたことだが、多くの人々から怒りと憎しみを買う波乱万丈の人生ではあったものの、最後は1番最初の旦那であるジョン・ケネディと同じ墓地に永眠することで物語が美しく完成するからだ。ジャクリーンとはそうした計算を入れていたわけなのである。
これが、アメリカの若き英雄ケネディを大統領に押し上げた、ジャクリーン夫人の本当の顔だったのだ。
では、なぜに私がフジテレビの≪ベストハウス123≫に怒り心頭なのか?ケネディ暗殺後のジャクリーンの本当の顔があらわれる後半の人生を紹介してくれなかったからだ。ジャクリーンがとんでもない悪女であることをはじめて知ったのが≪世界のコワ~イ女たち≫であり、私は≪ベストハウス123≫に完全にだまされた気持ちになってしまった……。
今週の“レディー・ガガ物語”で好感を取り戻したものの、本当は世紀の悪女だったジャクリーンを聖女のように思わせて視聴率を稼ごうとした≪ベストハウス123≫の行為には不快にならざるをえない。