思えば、りくの手術を見届けられたのも、無事に手術が終わったのも、ずっとお腹の子が私の1番近くで支えててくれたからなのかもしれない。

逆子で帝王切開の手術が決まった。
それまで逆子体操や鍼治療にも通った。外回転術をしている病院も探した。
何しても逆子は治らず、挙句切迫早産で予定よりも1週間早い入院が決まった。
りくに会えなくて寂しい。その思いで、予定帝王切開手術の日までは、半ば逆子であることを諦めて過ごしていた。

手術中、痛みが私を襲う。
あんなに痛みを感じるとは思わず、赤ちゃんを産んで、顔を見て安心したのも束の間、自分の意識が遠のくのを感じた。
ダメだ、死ねない…そう意識を赤ちゃんに向けるが、うまく意識が保てない。
でも、赤ちゃんの顔見れた、元気な姿を確認できた。母としての役目は、これで果たしたかも…
一瞬諦めかけた。でも、なんとか意識をフル回転させて、正気を保った。

手術終了後、激痛と闘いながら体の回復を待って、歩けるようになってから赤ちゃんに会いに行く。
りくを産んだ時を思い出す。まだ2年も経ってないのに、こんな感じだったかな、と思うところもあり、そういえば、と思うこともあった。

振り返って思うのは、こうして無事に外の景色を眺めていられるのは、私が今、生きているから。
手術中、あれだけ「生」を意識したことはこの人生の中で一度もなかった。
生きていることが、こんなによかったと思うなんて。


私は、高校の時に死のうとしていた。
薬をたくさん飲んで、自殺しようとしていた。
それが、今や2人の母になったのだ。
あの時思い描いてた夢は、絶対に叶わないと絶望していた。
私が子供を持つことは、絶対にないと思っていた。
こんなに体に悪いことをして、それでもギリギリ、かろうじて生きている。
それだけで私の人生は終わるんだろうと思っていた。

流産したときもそうだ。
私に子供を持つことは、罪なのだ。
一度、死のうと思った人間に、神様はそう甘くない。
1度目は泣いた。どうして私が、と今までのことを棚に上げて憤った。
2度目はやっぱり、と達観していた。私が、人生を容易く見定めていたから。

それでも、りくは生まれてきてくれた。
健康に育ってくれている。
そして、2人目の赤ちゃんも元気に生まれてきてくれた。
必死に母乳を飲んでくれている。

こんなに幸せを感じたことはない。断言できる。
私の人生の中で、こんなに暖かい気持ちになれる日が来るとは、何も思わなかった。

人生とは、生きていると本当に何が起こるか、分からない。
そう私が、身をもって知った。