乳幼児で発症する事が多く、そのまんま100日くらいの長い期間にわたりひどい咳が続く病気である。
百日咳菌という細菌が気管支粘膜などの気道粘膜に感染し発症する。この菌が感染すると気道粘膜が剥がれ落ち、炎症が起きる。その結果、痰を出すことが苦痛になったり、冷気やほこりなどの軽い刺激で咳の発作が起こる。咳の発作が長引くと呼吸困難になったり、さらには低酸素状態に陥るとけいれんなどの中枢症状が出現し、脳細胞に重大な損傷を与える事もある。中耳炎を併発する事も多い。特に乳児期では、咳によって呼吸困難となり、肺炎や脳症を起こすなど生命にも関わる事もある。
感染から発症までの潜伏期間は数日から1週間くらいで、初期の症状としては鼻水やくしゃみ、軽い咳くらい。母胎からの免疫抗体をもっているから6ヶ月未満の乳児がかぜをひくのは珍しい。だから早期乳児がかぜの症状が出たら百日咳を疑ってみる必要がある。
感染源の多くは親だと言われている。大人は免疫を持っているので、鼻かぜくらいの軽い症状から進行しないで治ってしまうことが多い。百日咳になっていた事に気がつかない事も少なくはない。鼻水やくしゃみ、軽い咳といった初期の症状の段階で病院に受診すれば、気道粘膜の損傷は最小限で抑えられ、咳の発作を起こすまでには至らないと考えられている。
重篤の呼吸症状を示すものの、発熱、とくに高熱を伴うことはほとんどない。しかし、いったん百日咳の病態が確立すると、症状そのもの治るのには2~3カ月かかる。咳の発作を誘発させない注意が必要で、室温20℃以上(低温は咳を誘発する)に設定するとか、加湿器など室内の湿度を調節したり、タバコ、煙を避けるなど、症状がでる前に適切な対処をしたい。またワクチンなどで予防に取り組むことも重要だ。