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この谷に入るのは、今シーズン初だな。
冬の気配は感じないけど、春も足踏みをしている。
水量が多い。
流れの中からは仄青いあめごが出てくる。
ポケットにはさびを残したあめごがいる。
ぼくらの釣りはゆっくりだ。
急がない、がつがつしない。
休憩時間はぜいたくに、コーヒーを飲むまで終わらない。
春先からずいぶんと水が出たようで、淵が消えたり、また新しくできたりしている。
それでもあまごもいわなも約束した場所で待っている。
上流部の桂の木が並ぶ場所が好きだ。
今日はあめごを少しだけ食べる。
デスラーがシシ鍋を用意してくれた。
分厚いしし肉、あめごは骨まで
キトはケーキを持ってくる。
疲労祭りは白髪が増えた。
また生まれた日がやってきた、また終わりの日が近づいた。
喜びでもない、悲観はしない。
ただいつもと少しだけ違う特別な日であればいい。