【連載】福永祐一厩舎3月6日開業 

 

トレセンで開業準備を進める福永師(撮影・白石智彦)
トレセンで開業準備を進める福永師(撮影・白石智彦)

<新調教師・福永祐一 馬ファースト(1)>
 

 馬を最優先に考えて、世界制覇へ-。

 

福永祐一調教師(47)が3月6日に厩舎開業を迎える。

 

日刊スポーツではきょう4日から「新調教師・福永祐一 馬ファースト」と題して3回連載をスタート。

 

初回は、騎手時代に歴代4位の2636勝を挙げた名手が、新たな人生の節目を前に心境を激白した。
    ◇    ◇    ◇
 

いよいよ、ホースマン人生の第2章が始まる。

 

開業を直前に控えた福永師は、穏やかな表情で始動に備えている。
 

福永師 

この1年はあっという間でした。

やはり新しいことを始める、というのは面白いですね。

もういよいよ(開業)なんだと、楽しみにしています。

まずは解散する厩舎から引き継いだ馬でのスタート。

これまで尽力されていた方々の思いに応えられるようにしていきたいと思います。
騎手を引退し、準備期間だったこの1年は国内外のセリ、牧場回り、栗東&美浦の厩舎研修など、慌ただしくも充実した日々を送ってきた。

師の見据えるところは、世界最高峰にある。
 

福永師 

一朝一夕ではならないかもしれませんが、世界レベルの厩舎になれるようにしたいです。

今、日本の馬が世界で活躍するようになっていますし、それに携わる人が世界レベルになれないわけがないですから。

高い意識を持ってやっていける集団にしていく。

馬の能力を全て発揮させることができる厩舎力を持ったチームにしたいです。
師には、揺るぎないホースマンシップがある。

それが、携わる馬を最優先に考える「馬ファースト」だ。

リーディング騎手を目指し、自分を追い込むという性に合わない行動にストレスを感じていた30代。

「人生は1度きり。やりたいことをやらないと」と初心に返り、自分を見つめ直した。

そこでたどり着いたのが、デビューした時から持っていた「馬に深く携わりたい」という感情。

通算1570勝トレーナー・藤沢和雄元師が貫いた「一勝より一生」という考え方だった。

それは、騎手から調教師になっても変わらない。
 

福永師 

すべては馬のために。

我々は馬で生活していますし、馬ファーストであるべきだと思います。

レース選びなども、馬に合った選択をしていきたいです。

これから(厩舎を運営していく上で)思い通りにいかないこともあるかもしれませんが、それは経験をしてアップデートしていくもの。

とにかく今は楽しんでやりたいという気持ちです。
以前、自身について、サッカーでチームをコントロールする役割の「ボランチ」タイプだと言った。

「自分ひとりでやる仕事より、チームでやる仕事の方が性に合っていると感じます」。

名手から名トレーナーへ。

超一流だった騎手成績を超える冒険が今、始まる。

                【藤本真育】
 

◆福永祐一(ふくなが・ゆういち)1976年(昭51)12月9日、滋賀県生まれ。96年騎手デビュー。

歴代4位のJRA通算2636勝(重賞160勝)。

ダービー3勝などG1・34勝。

10年から13年連続の年間100勝はJRA最長記録。

父は「天才」と称された福永洋一元騎手。

 

2024年3月4日12時30分
(日刊スポーツ)

 

 

 グラサン

 少なくても20年は調教師として第2のホースマン人生を歩めるわけだが、父同様に勝手に外野が「調教師・福永祐一」のイメージを作り上げて行くのだろう。

 

衝撃的騎手人生のラスト5年に成ったが、あれだけ欲しがっていたダービージョッキーの名を一気に3勝重ねて引退宣言は「さすが堀プロダクション」と冷やかす者もいるが、シナリオ通りに競馬を勝てるなら、頭の昔に競馬ブームは衰退していた筈だ。

 

華の門出に成る今週だが、祐一が言う通りこの1年は本当に早かった。

 

祐一に取っては第2の師匠となる藤原英昭調教師のアドバイスを受けて、幅広く武者修行を続けて来たが、まさか美浦の宗像義忠厩舎迄足を踏み入れるとは思っても居なかった。

 

ここでは勝春が修行中で、先輩ジョッキーへの挨拶を兼ねて今回は同期の調教師としての武者修行だろうが、この二人には親子二代に渡って親交が有り、牧場も馬主も被る訳で同時に開業すると成ると益々勝ち合う事が多く成る事だろう。

 

いずれにしても30年前にこの二人が同時に調教師としてスタートするとは想像も出来なかった。

 

楽しみな東西対決が起こる予感だけは感じているし、楽しみにしている。