矢作師は現在サウジカップ開催の最多勝調教師

 

22日、共同会見に出席した矢作師(撮影・木南友輔)
22日、共同会見に出席した矢作師(撮影・木南友輔)

 

 【リヤド(サウジアラビア)=木南友輔】

20年から始まったサウジカップ開催で現在、最多勝トレーナーの座に君臨しているのが、日本の矢作芳人調教師(62)だ。

 

一昨年のレッドシーターフハンデキャップ(ステイフーリッシュ)、昨年の1351ターフスプリント(バスラットレオン)、サウジC(パンサラッサ)で3勝。

 

2位タイは5人いて、地元勢が3人に日本の森秀師(サウジダービーを20、21年にフルフラット、ピンクカメハメハで連覇)、バーレーンのファッジ・ナス師が名前を連ねている。

 

この開催にはサラブレッドではなく、「純血アラブ」もあるので、日本から参戦し、リーディングトレーナーとなっているのは、あらためて素晴らしいことだと思う。


海外では「帽子の男」として知られる矢作師は22日、共同会見に出席。

 

会見の冒頭は今年もサウジカップ開催へ来たことの感謝が伝えられ「ありがとうございます。

興奮しています」と応えた。

 

この日も通訳の安藤裕氏とともに、時に真剣に、時にジョークで笑いを誘いながら、関係者のハートをつかんでいく。


昨年のパンサラッサの勝利については「勝つために来ていたけど、本当に勝つことができて、夢のようでした」と実感を込めて話し、日本馬にとってのサウジCの重要性を問われると、「もちろん(重要)ですし、だからこそ、今年、日本の一番強い馬たちがサウジに来ているんだと思います」とリスペクトの気持ちを伝えた。

 

海外メディアがラヴズオンリーユーの帽子をかぶっているのに気付くと「ナイスキャップ」と声をかけた。
 

会見後にはスタンドにペイントされたパンサラッサの前で写真撮影に応じた矢作師。

 

今年は管理馬のサウジカップ出走はないが、日本馬の強さを見せつけ、勝利を積み上げてほしい。

 

土曜のサウジカップデーから、今年も世界のビッグレースで矢作厩舎の馬の名前が響き渡ることになるはずだ。

 

2024年2月22日21時39分
(日刊スポーツ)

 

 

 グラサン

 世界で「帽子の男」と言う名の初代ホースマンは日本のサラブレット市場で最高値で次々と名馬を競り落とし、世界最高市場のキーンランドであのロバート・サングスターと1頭の牝馬を競り合い会場を沸かせ、最後の最後に競り勝った日本人ホースマン・中村和夫に会場に集まった世界のホースマンが「あの帽子の東洋人は何者なんだ…!?と言われたのが第1号だろう。

 

このセリ市場の事件は翌日のニューヨークタイムズでも「ロバート・サングスターに競り勝った日本人」として大々的に取り上げられ、激震が世界に轟いたが、その中村和夫オーナーが生産したロードカナロアが種牡馬と成り、その血がパンサラッサみ引き継がれ、矢作調教師の目に留まり昨年のサウジCを制した訳だが、競馬界のドラマは1つの小説より面白いエピソードが実に多い。

 

昨年の矢作調教師の快挙をみとることなくこの世を去った中村和夫だが、大井競馬場では誰でも知っている馬喰だったし、矢作親子とは深い交流は無かったが、我が師匠・福永二三男を紹介してくれた恩人でセリ場で私に馬の見方・競馬の世界を教えてくれた大恩人でもある。

 

世界のホースマンの中に入ってもその風格・オーラは一歩も引けを取らない矢作調教師だが、追う立場から追われる立場に成った今年は、どんな快挙を日本に届けてくれるか楽しみだし、その歓声は日本の地にも届くものに成るだろうことを期待している。