鉄道コムに乗っている内容の抜粋ですが

 

 

「約75年ぶり」「令和初」の新線開業に「名車」引退も

 鉄道業界の2023年を振り返る2023年12月16日(土) 鉄道コムスタッフ

コロナ禍からの脱却ムードとなった2023年。

鉄道業界では、新線開業や新型車両のデビュー、

歴戦の車両の引退と、今年もさまざまな動きがありました。

路線や車両の動きなど、2023年に起こった出来事を振り返ってみましょう。

 

相鉄沿線から東横線・東上線や南北線・三田線へ直結 「相鉄・東急直通線」開業

2023年3月18日、「相鉄・東急直通線」(相鉄新横浜線の

羽沢横浜国大~新横浜間および東急新横浜線)が開業し、

相鉄線と東急線を直通する列車の運転が始まりました。

 

この路線の開業は、相鉄線から新宿方面への

単純な直通運転であるJR直通線と異なり、

東急線の先も巻き込んだ一大直通ネットワークを形成しました。

新横浜駅から直通列車が走る路線は、

相鉄本線、いずみ野線、相鉄新横浜線、東急新横浜線、東横線、目黒線、

東京メトロ副都心線、南北線、都営地下鉄三田線、

埼玉高速鉄道線、東武東上線と、その数6社局11路線

(相鉄からの直通列車の運転がない路線も含む)。

相鉄沿線から大手町や池袋へ、東武沿線から新横浜へ、

これまで以上にアクセスしやすくなりました。

宇都宮では「約75年ぶり」の路面電車、福岡では「令和初」の地下鉄が開業

8月には、宇都宮芳賀ライトレール線、通称「ライトライン」が開業しました。

宇都宮駅東口~芳賀・高根沢工業団地間の全長約14.6㎞の路線で、

多くの区間で「併用軌道」区間を走る路面電車です

国内において、既存の路面電車路線がなかった場所で新線が開業するのは、

約75年ぶりのことでした。

 

ちなみに、ライトラインという愛称は、

発表当初はHU300形の車両愛称となっていました。

しかし、開業前から路線全体を指す愛称として外部で使われることがあり、

現在は「宇都宮駅と芳賀町を結ぶ『ライトライン』」といった

使用方法でも間違いではなくなっています。

 

時期はさかのぼりますが、

3月には福岡市営地下鉄七隈線の天神南~博多間が開業しました。

これまで福岡有数の繁華街である天神を始発駅としていた同線ですが、

博多駅や福岡空港へ直結する地下鉄空港線の天神駅とは少し離れており、

乗り換えが不便な状況でした。

今回の延伸で、七隈線沿線から博多駅へのアクセス性が改善されています。

 

 

3月のダイヤ改正にあわせて、

大阪では「うめきたエリア」が開業しました。

大阪駅の北西に設置された地下駅で、2面4線のホームという設備。

うめきたエリアという愛称はつけられていますが、

駅としては大阪駅の一部を構成します

この新ホームを通るのは、東海道本線の貨物支線、通称「梅田貨物線」です。

貨物線という名称ではありますが、旅客列車も多く運転されており、

特急「はるか」「くろしお」などがこの線路を経由しています。

これまでは、大阪駅の北西を通りつつ、

同駅は「素通り」だった両列車ですが、新ホームの開業によって、晴れて大阪駅が停車駅に。

神戸方面から関西空港や和歌山方面へ向かう際、これまでは新大阪駅や、大阪環状線経由で、

天王寺駅などで乗り換える必要がありましたが、

この不便さが解消されています。

 

JR西日本はうめきたエリアについて、

イノベーションの実験場「JR WEST LABO」の中心と位置付け、

新たな価値創造の推進やさまざまな課題解決に取り組む場としています。

JR東日本の高輪ゲートウェイ駅と同じような立ち位置となるこのエリアで、

同社は顔認証改札機や「デジタル可変案内サイン」を導入しました。

2023年には新型車両が多数デビューしました。

 

その中でも目玉と言えるのが、東武鉄道のN100系。

「スペーシア X」の愛称を持つ、「スペーシア」こと100系の後継車両です。

 

東武特急の新しい車両として登場したスペーシアXは、

スペーシアの個室や販売カウンター(ビュッフェ、営業終了済)といった

要素を引き継ぎつつ、これらをブラッシュアップ。

6室設けられた個室のうち1室は、私鉄最大級の広さをほこる

「コックピットスイート」となり、カフェカウンター

「GOEN CAFE SPACIA X」では同列車限定の

クラフトビールやコーヒーなどを販売するといったように、

上質なサービスを提供する列車となりました。

西の近鉄「しまかぜ」と並ぶ、私鉄随一の豪華さを持つ特急車両ではないでしょうか。

 

このほか、JR北海道の737系、JR貨物のEF510形300番台、

泉北高速鉄道の9300系、福井鉄道のF2000形、

南阿蘇鉄道のMT-4000形が、2023年にデビューしました。

本記事の公開後ですが、鶴見線用の新型車、E131系1000番台も、

12月24日に営業運転を開始する予定です。

また、新形式ではないものの、3月には「オホーツク」「大雪」で

キハ283系が営業運転を開始。また9月には、

2022年まで新潟エリアで活躍してきたE127系が

活躍の場を神奈川県に移し、南武支線で営業運転を開始しています。

デビューする形式があれば、逆に引退する形式もあります。

2023年は、新形式よりも引退形式の方が多い年となりました。

 

3月のダイヤ改正では、JR北海道のキハ183系、

JR東日本の651系、JR西日本の和田岬線用103系が営業運転を終了しました。

 

キハ183系は、1980年に営業運転を開始した特急型のディーゼルカーです。

北海道専用形式として開発(後にJR九州「オランダ村特急」用車両も

キハ183系として登場)された車両で、

国鉄時代からJR北海道発足初期にかけて製造されました。

デビュー当時の先頭車は非貫通型の「スラントノーズ」タイプでしたが、

後に貫通型先頭車の製造に移行し、

引退直前には貫通型グループのみが残っていました。

また、キハ183系グループに含まれる

「ノースレインボーエクスプレス」も、4月に営業運転を終了しています。

 

51系は、1989年に常磐線の「スーパーひたち」でデビューした特急型電車。

JRグループで初めて時速130㎞での営業運転を実現した車両で、

その白い車体から、デビュー当時のPR文では

「タキシードボディのすごいヤツ」と呼ばれていました。

常磐線ではE657系の投入により撤退しましたが、

2014年からは高崎線系統の特急列車群で活躍していました。

 

 

7月には、JR西日本の117系が、営業運転を終了しました。

1980年に京阪神エリアの「新快速」用としてデビューした117系は、

その後名古屋エリアにも新製投入され、さらには京阪神から

中国エリアへ転属したものも。末期には、

京都エリアや岡山エリアの普通列車で運用されていました。

そしてもう一つ、7月にはJR東海のキハ85系も引退。

1989年にデビューした特急型ディーゼルカーで、

特急「ひだ」「南紀」で活躍してきました。

2022年デビューのHC85系によって置き換えられ、

大部分が引退しましたが、一部は京都丹後鉄道に譲渡されており、

今後は同社線内の特急予備車として使用される予定となっています。

 

そして12月には、小田急電鉄のロマンスカー50000形「VSE」が引退。

 

デビューから20年も経過していない若い車両でしたが、

今後の使用を継続するにあたっての更新工事が難しいことから

早期の引退となりました。

定期運用自体は2022年3月に終了していましたが、

その後も団体臨時列車での活躍が続いていました。

 

 

2023年は、東海道新幹線(および山陽新幹線)関連の

ニュースが多く発表された年でもありました。

7月21日、それまで使われてきた車内チャイムが変更され、

「会いにいこう」という曲をアレンジしたものとなりました。

この曲は、同社が展開する「会いにいこう」キャンペーンのために

書き下ろされたもの。賀来賢人さんが出演するCMで使用されています。

 

 

7月20日まで使われていたチャイムは、

TOKIOの「AMBITIOUS JAPAN!」でした。

 

こちらも「会いにいこう」同様にキャンペーンソングとして使われた曲で、

2003年の品川駅開業にあわせて使用を開始。

約20年の間、東海道新幹線のチャイムとして親しまれてきました。

 

11月1日には、グリーン車での「モバイルオーダーサービス」が始まりました。

スマートフォン経由で車内販売商品をオーダーでき、

客室乗務員が注文した商品を座席まで運んでくるというサービスです。

グリーン車では従来のワゴン販売サービスよりも利便性が向上した一方、

普通車でのワゴン販売は10月31日をもって終了。

「のぞみ」停車駅のホームなどに設置された自販機が、

従来のニーズを引き継ぐようになりました。

自販機では、カップのコーヒーや、「シンカンセンスゴイカタイアイス」として

親しまれたスジャータのプレミアムアイスクリームなどを販売しています。

しかしながら、スジャータのアイスについては、

車内販売時ほどのカチカチな硬さはなく、

東海道新幹線の利用者が気軽にあの硬さを体感できる機会が

減少したことを残念がる声も、SNS上などで見受けられます。

 

そして、12月28日から2024年1月4日までの年末年始には、

3大ピーク期における「のぞみ」全車指定席化が始まります。

通常、「のぞみ」は16両中3両が自由席ですが、

繁忙期にはこの少ない自由席車両に乗るため、

多くの旅客が集中していました。

JR東海とJR西日本では、3大ピーク期に限り全車指定席とすることで、

1列車あたりの指定席提供数を約1.3倍に拡大。

これまで以上に指定席の予約を取りやすくしました。

 

毎年のように襲い掛かる災害で、今年も鉄道路線の長期不通路線が発生してしまいました。

そして7月には、南阿蘇鉄道の立野~中松間が、営業運転を再開しました。

2016年の熊本地震で被災して以来不通が続いてきた区間で、

約7年ぶりに営業列車がレールの上を走りました。

月には、日田彦山線の添田~夜明(~日田)間で、

代替バス路線「BRTひこぼしライン」の運行が始まりました。

2017年の豪雨で被災し、不通となっていた日田彦山線の

添田~夜明間ですが、鉄道による復旧が断念され、

鉄道用地を活用する形で、BRT用の道路が整備された形です。

災害復旧におけるBRTの導入は、

JR東日本の大船渡線、気仙沼線に続く3例目。九州では初の導入事例となっています。

そして、JR北海道 留萌線 留萌~石狩沼田間も廃止になりました

といろいろとあった1年でした