Jタウンニュースに乗っている記事ですが

 

「当館は注文の多い博物館です」 宮沢賢治パロディで感染予防...

小樽市総合博物館のポスターが話題に

2020.06.04 21:00 Jタウンニュース

注文の多い博物館(画像は小樽市総合博物館フェイスブックより)

「どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません」。

これは宮沢賢治の童話「注文の多い料理店」の一節だ。 

 

二人の若い紳士が山奥にある西洋料理店「山猫軒」に入り、

そこでおかしな注文をつけられていく......というあらすじだが、

北海道小樽市には「注文の多い博物館」が存在している。

これは小樽市の歴史と自然、北海道の交通史や科学技術をテーマとする「小樽市総合博物館」が、

新型コロナウイルス感染拡大防止のために制作したポスターだ。

 

「どなたもどうかおはいりください

ただし、今だけは次の方たちはごえんりょください」

 

として、入館を控えてほしい人の条件を載せている。

例えば、

「体のぐあいがわるい方」

「37.5度以上のねつがある方」

「せき・のどの痛みなどのしょうじょうがある方」

 

といった具合だ。

 

「どうか手や指にアルコールえきを...」

さらにポスターには、

「当館は注文の多い博物館ですから

どうかそこはごしょうちください」

 

とある。他にも、

「いろいろ注文が多くてうるさかったでしょう。お気の毒でした。 もうこれだけです」

「どうか手や指にアルコールえきをたくさんよくもみこんでください」

「いや、わざわざご苦労です。たいへん結構にできました。

さあさあ おなかにおはいりください」

 

など、いたるところに「注文の多い料理店」を意識した文章が使われている。

 

凝っているのは文章の内容だけでなく、フォントやデザインも工夫されている。

ナイフとフォークを構えた悪い顔の山猫や、

なんともいえない表情の山猫のイラストも描かれているのも可愛らしい。

 

この「注文の多い博物館」のポスターは、あるツイッターユーザーが紹介したことで話題に。

ポスターを見た人たちからは、ツイッターに、

 

「こう書かれると読んじゃいますね。おもしろい」

「いいセンスしてる」

「フォントが可愛い&使い分けが出来ている 絵が可愛い 

子供でも面白がって読みそう」

「こういう遊び心のある掲示はとてもいいと思います」

「洒落てるなぁ」

 

 

と称賛の声が上がっている。

 

「再度原作を読み直し...」

Jタウンネットは2020年6月4日、小樽市総合博物館を取材し、

このポスターを発案した石川直章館長に話を聞いた。

 

ポスターは1日に営業を再開したときから掲示されているもので、

前日の5月31日、館の公式フェイスブックに投稿してから徐々に評判となり、

広まったという。

 

ポスターのデザインは、実は二種類。

同館の本館と運河館という二つの施設の入り口に掲示しており、

ポスターの下の山猫がいる建物がそれぞれの館をモチーフにしたものとなっている。

ツイッター上で拡散されているものは本館バーションだ。

こちらは運河館バージョン(画像は小樽市総合博物館公式ツイッターより)

こちらは本館(旧・鉄道博物館)バージョン(画像は小樽市総合博物館公式ツイッターより)

 

石川館長に「注文の多い博物館」ポスターを作成した経緯を聞くと

 

「私が5月の連休中にツイッターで東京都世田谷区にある

『adito』というカフェが『注文の多い飲食店』として守ってほしい事項を

書いているのを見かけました。それを見てうちでも使いたい、

と思いaditoさんにご連絡をして使用許可を頂き、作成することにしました」

 

とのこと。

 

また、参考にしたカフェではシンプルに注意事項を伝えていたが

 

「うちは博物館なのでデザインもこだわってみよう...! と思いました。

そのために再度原作を読み直し、使えそうなところを抜き出しました。

どうも博物館なので、しっかり元ネタを確認するという癖が

ついているんですよね」(石川館長)

 

そして館長が抜き出した注意書きに使えそうな文章を、

同館の学芸員である鈴木博子さんがレイアウトや細かな部分をデザインし、

ポスターができあがったという。

 

今回、インターネット上で話題になったことについて、館長は

 

「当館は今までこのようにバズった、ことはなく、

初めてのことなのでとても驚いています。

 

ただ注意事項をベタベタと貼るのは心苦しいと思い、

子どもから大人までみんなが親しみやすく読んでもらいたい、

との思いを鈴木にも伝え、それをしっかり引き継いでもらって、

このポスターができあがりました。

 

これを見た皆さんに少しでも笑ってもらえれば、

とも思っていたので、インターネット上で話題にして頂けて嬉しいです。

 

それから、見れば誰でも元ネタが分かり、

中には僕たちが書いた部分ではない本編の文章を

パロディしてくれている方も見かけたので、

宮沢賢治はすごいな......と改めて感じました」

 

と感想を話す。

 

観光地・小樽にあるという立地上、

普段は来場者のほとんどが観光客だという小樽市総合博物館。

まだ道内の移動しかできないという現状で、来場者数は限られている。

 

「状況が落ち着いてきたら、ぜひ注文を守っていただきながら

少しずつ当館に足を運んでほしいな、と思います」

 

と呼びかけた。

 

 

 

 

 

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