東京新聞に乗っている記事ですが

 

三田線は「I」…なんで「M」じゃないの? 地下鉄アルファベットの謎

2020.04.23日 東京新聞

 

 

地下鉄に不慣れな外国人や旅行者にも分かりやすいように、

駅の出入り口には路線カラーの丸でアルファベットを囲んだマークが表示されている。

日比谷駅には東京メトロ日比谷線のシルバーに「H」

千代田線のグリーンに「C」

都営地下鉄三田線のブルーに「M」…ではなく「I」? 

今さら人に聞けないマークの謎を追った。 (高橋可鈴)

 

利用者も首かしげる

 駅の出入り口前で信号待ちをしていたIT企業勤務の30代女性二人組に

三田線について尋ねると、「なんで『I』なの」

「外国人はさっぱりだろう。日本人でも不慣れな人は分からないのでは」と顔を見合わせた。

コンサルティング会社で働くイタリア出身の男性二人組は、そもそも「I」に気づいてなかった。

「色で判断している。丸ノ内線があるから『M』じゃないの」と鋭い指摘。

 

複雑な東京の地下鉄網。乗り間違えないために分かりやすさが不可欠だ。

営団地下鉄(現・東京メトロ)と東京都交通局が1970年に覚書を交わし、

独自に決めていた路線カラーが重ならないよう定め直した。

対象は当時開業していた7路線と計画路線。

車体の色や沿線の特徴などから見分けやすく明るい色を付けた。

◆丸ノ内線に負けました

 歴史をひもとくと、三田線のちょっぴり切ない過去が見えてきた。

丸ノ内線と三田線は協議の時、どちらもだった。

東京都交通局の広報担当・井上清美さん(73)が伝え聞いた話によると、

都内で二番目に古く、百何十万人も乗せていた丸ノ内線に対し、

三田線は当時、路線が短く認知度も低かったので、丸ノ内線がで決着。

三田線はになったが「赤に戻して」との声は上がらなかったそうだ。

「丸ノ内線が赤を勝ち取り、赤を使っていた三田線は青になった」という裏話は本当だった。

  

2004年には路線の色でアルファベットや駅番号を囲む「駅ナンバリング」を導入。

外国人モニターや利用者の意見を募り、現在のマークができた。

 では、どうして三田線は「I」で、丸ノ内線が「M」なのか。三田線も頭文字は「M」なのに…。

 

◆頭文字は早い者勝ち

 東京メトロによると、アルファベットは原則路線名の頭文字を表し、

他の路線とかぶる場合は先に開業した路線を優先する。

三田線は丸ノ内線より十年以上も「後輩」だったので「M」の座を逃し、

二文字目の「I」で落ち着いた。

 東京都交通局の広報担当者は「三田線は、

丸ノ内線に赤だけではなく『M』も譲った」とその境遇に思いをはせた。

「MITA」の残りの「T」は東西線、「A」は浅草線が使っている。

実は現在の三田線の車両には、ブルーの上にささやかな赤のラインが入っている。

井上さんは「昔入れたかった名残では?」と推測する。

 他にも頭文字でない路線が二つ。

半蔵門線(HANOMON)は、

先に開業した日比谷線に「H」を、浅草線に二文字目の「A」を使われ、

三文字目の「N」は既に計画されていた南北線のものに。

他の路線と重なりにくい「『』が妥当」だと決まった。

アルファベットの最後の文字「Z」は印象に残りやすく、良い選択と言えそう。

大江戸線(OODO)は、「O」と数字の0(ゼロ)が紛らわしいため「E」になった。

 

◆「色の方が簡単だよ」

 こうして生まれた外国人にも優しい地下鉄マーク。

表参道駅で友人を待っていたゲーム会社社員のテディ・クロスさん(23)は、

「文字や数字を覚えるのは大変。色を覚える方が簡単だよ」とマークを見上げた。

表参道駅の出入り口で目印を見ながら話すテディさん

 

 <駅ナンバリング> 路線を表すアルファベット一文字と駅を

表す数字が路線の色で囲まれている目印。

外国人や観光客が識別しやすいように取り入れられた。

地下鉄では、横浜市営地下鉄が初めて2002年に導入し、全国の地下鉄で標示されている。