北海道新聞 空知版に乗っている記事ですが

 

旧美唄鉄道のSL 汽笛や走行音、次代へ響け 展示車両で再現

2019.07.03 北海道新聞 空知版

 

製造から100年を迎える4110形タンク機関車。運転席に入ると現役当時の汽笛や走行音が響く

 

 【美唄】旧美唄鉄道東明駅横に展示されている

4110形タンク機関車(SL)の現役当時の汽笛や走行音が運転席内で再現され、

訪れる人の関心を集めている。

同機関車は今年、製造から100年。

5月には「炭鉄港(たんてつこう)」の構成文化財の一つとして日本遺産に認定されており、

市民らは「炭鉱の記憶が五感を通じて後世に伝われば」と期待している。

 旧美唄鉄道は1914年(大正3年)に美唄軽便鉄道として開業。

石炭輸送と住民の足を担い、現在のJR美唄駅と三菱美唄炭鉱があった常盤台駅までの約10㎞を結んだ。

 展示されているSLは全長11・4m、高さ3・8m、空車時重量52・2t。

19年の製造から72年の旧美唄鉄道廃線まで半世紀余りにわたり活躍した。

後に普及した代表的なSL「D51形」よりも動輪が1軸2輪多い5軸10輪で

強い動力を生み、市街地から炭鉱までの急勾配を走行。

廃線後、東明駅舎とともに市に寄贈された。

 昨春、以前美唄に住んでいた札幌の男性が、市に旧美唄鉄道の列車の汽笛や走行音などを

収録した古い市販レコードを寄付。

市教委はこの音源を基に、同9月にSLの運転席のドアを開けると

センサーが反応し汽笛や走行音が鳴るようにした。

アイデアを考えた市郷土史料館の谷川毅館長(50)は

「インターネット上に『汽笛の音が聞けるといい』とのファンの声があり、参考にしました」と話す。

 SLは冬季保存のためシートで覆われる11月~翌年4月を除きいつでも見学できる。

SLとともに東明駅舎も日本遺産に認定され、市教委が毎月第1日曜(冬季を除く)に

内部の公開を始めたことから、鉄道ファンや往時の美唄を懐かしむ人が足を運んでいる。

 市内の東明駅保存会会員で、旧美唄鉄道沿線で生まれ育った

自営業寺田栄一さん(63)は「炭鉱跡は植林されて風景が消え、

東明駅舎やSLが思い出をかき立てる数少ない名残だ」と話している。

(勝間田翔)