北海道新聞に載っている記事ですが

 

往時伝える「増毛駅」再生 改修完了、一般開放へ 築100年木造駅舎の趣守る

2018.04.06 09:02

 

増毛駅駅名標

 

開業時と同じ広さに復元された旧増毛駅舎。線路で遊ぶ子どもや駅舎内を見ていく町民の姿も

 

 

 【増毛】

2016年12月、JR留萌線留萌―増毛間の廃線により廃止された旧増毛駅舎を、

今後もまちづくりの核に据えようと進められていた改修・周辺整備工事が終了した。

ホームに駅の思い出を後世に伝えるモニュメントが設置されたほか、

駅舎は100年近く前の開業時と同じ広さに復元された。

 

 モニュメントは高さ7メートルの鉄製ポールの先端に、ステンレス製の羽根が三つ付いたもの。

JR札幌駅の大時計や、同駅の商業施設パセオにある「テルミヌスの森」などを手がけた

滝川出身の彫刻家五十嵐威暢(たけのぶ)さんがデザインした。

 モニュメントの名称は「テルミヌスへの願い」。

 

テルミヌスはターミナル(終着駅)の語源となったローマ神話の神。

下部に付けられたプレートには堀雅志町長の

「私たちは、その記憶を大切にし、過去から現在、そして未来へと繋(つな)ぎ伝えなければなりません」

との言葉が記されている。

 昨年10月から始まった一連の工事は3月末に終了。

廃駅時に62平方メートルだった駅舎の床面積は114㎡(トイレや店舗部分を除く)となり、

1921年(大正10年)の開業時と同じ広さになった。

町は「半分以上の柱は廃駅時のものを使った」とし、築100年近くの木造駅舎の歴史ある趣を

守ったという。

増築分は展示スペースとして使われ、順次、鉄道関連の写真などが飾られる。

終着駅の象徴である列車止めは廃駅時のまま残した。

このほか駅舎周辺に枕木の通路を整備した。総事業費は8,800万円。

 一般開放を前に「きれいになった」「入ってみたい」と訪れる町民も。

娘らをつれて来た町内の会社員三浦史誉(ひろのり)さん(32)は

「駅の改修で、これから観光客は来るのかな」と、駅周辺ににぎわいが戻るかどうかを気にしていた。

 工事の着工前まで駅舎内で売店を開いていた町内の水産加工業「孝子屋(ここや)ぐるめ食品」は

14日に再オープンする予定で、町はそれまでに駅舎を一般開放する方針。

22日にはオープニングセレモニーを開き、テープカットなどを行う。(工藤俊悟)