北海道新聞に載っている記事ですが
動物駅長、人気は続くよ 新十津川駅は雌の柴犬「ララ」
2018.01.15 07:43 北海道新聞
新十津川駅で利用客らに「駅長」と呼ばれ、親しまれている雌の柴犬ララ=昨年9月
全国各地で鉄道をPRするイヌやネコなどの動物駅長や駅員の人気が根強い。
最近では道内でもJR新十津川駅(空知管内新十津川町)の駅長犬ララが話題に。
鉄道と動物はなぜ相性がいいのか。
背景にはペットブームのほか、意外なマーケティング手法の効果もあるようだ。
今年は戌(いぬ)年。
JRの路線見直し議論が続く道内で、救世主となる新たな看板犬は誕生するか―。
年明けの6日、JR札沼線終点の新十津川駅に雌の柴犬ララの姿があった。
週末の土曜と日曜、列車が到着する朝の時間帯に「出勤」し、
駅長帽に制服を着て乗客を出迎える。年明けは元日に続いての出勤だった。
全国的には鉄道会社がPRのために動物を「駅長」などに任命するケースが多いが、ララは鉄道ファンや利用客から自然と「駅長」と呼ばれるようになった。
来月の駅前でのイベントにも出演予定で、新十津川駅の看板犬になりつつある。
■和歌山が先駆け
全国の駅にいる看板動物
動物駅長ブームの先駆けは和歌山県の和歌山電鉄の雌の三毛猫「たま」。
2007年1月に貴志川線貴志駅(和歌山県紀の川市)の駅長に任命され、
愛くるしさと物珍しさで観光客を招いた。
赤字ローカル線の貴志川線は一躍人気スポットになり、
乗客数は南海電鉄が運営していた05年度の約192万人から近年では
約223万人まで伸びたという。
現在はたまの後継の「ニタマ」が同駅で「スーパー駅長」を務める。
たまの人気を見た全国各地の鉄道会社が集客の目玉として、動物を次々に駅長などに任命。
イヌやネコが中心だが、徳島県の阿佐海岸鉄道には伊勢エビの駅長も登場した。
動物たちは常駐したり、イベント時だけ駆り出されたり、各地によって起用法はさまざまだ。
看板動物の活用について、早稲田大社会科学総合学術院の
野口智雄教授(マーケティング論)は既成の理論や概念にとらわれない
「水平思考」という考え方の応用だと分析する。
「駅長は通常、人間が就き、位の高いポスト。
人間でもなく、偉さとは逆の愛らしい動物を任命することで意外性を高め、関心を引きつけた」
ヒット商品で言えば「飲むヨーグルト」や「食べるラー油」と同じ手法で、
既存のさまざまな要素の組み合わせを入れ替えるだけで斬新に見えるという。
■ペットブームも
ただ各地に看板動物がこれだけ登場すれば、斬新さも失われ、
飽きられないのだろうか。
野口教授は「少子高齢化で単身世帯も増える中、ペットブームが続いていることが大きい」と
指摘。動物への愛着の強さが、人気が衰えない要因とみる。
鉄道ファンは鉄道と動物の組み合わせをどう見ているのか。
道内の鉄道愛好家らでつくる北海道鉄道観光資源研究会の永山茂代表は
「昔は野良ネコがすみ着くような駅舎もあり、皆でかわいがっていた。
鉄道と動物の組み合わせはそんなノスタルジーが感じられ、
鉄道ファンをぐっと引きつける。もともと鉄道と動物の親和性は高い」と話す。