「腰が痛くなりにくい」乗り方 | 馬術稽古研究会

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従来の競技馬術にとらわれない、オルタナティブな乗馬の楽しみ方として、身体の動きそのものに着目した「馬術の稽古法」を研究しています。

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  乗馬の後、腕や脚の筋肉痛が辛いとか、腰がしんどい、というような方は少なくないのではないかと思います。

上手な人馬の格好良いフォームをイメージしながら、同じような形で乗ろうと頑張っていると、終わった時には身体のあちこちが痛くて…」

「乗り初めてしばらくはいいんだけれど、しんどくて長く続かないんです…」


そんな話をよく聞きます。



乗っているときは、頑張ってトレーニングしてるなぁ、という達成感に溢れていても、


終わった後は身体が重く、あちこちが痛くなっていたりするだけでなく、


そうして毎回頑張ってトレーニングしているはずなのに、前よりも身体が安定しなくなってしまった、などと感じている方もいらっしゃるかもしれません。




  なぜ、思ったような効果が出ないのでしょうか?


  原因はいくつか考えられますが、その中で多くの方があまり気づいていなさそうなこととして、

「股関節が抜けている」ということがあるのではないかと思います。



  股関節が「抜けている」、というのは、

いわゆる反り腰、内股、出っ尻の形に代表されるような、

重心軸の垂直線上から股関節がオフセットしたような状態の事で、



一見すると、太腿や背中、お尻の目に見える筋肉が緊張して力強い感じに見えますが、


上体にかかる負荷を全身の骨格へとうまく散らすことが出来ず、腰椎や特定のアウターマッスルに負荷が集中する一方で、股関節周りのインナーマッスルは充分に働かず、


筋肉の使い方のバランスが、


アウターマッスル>インナーマッスル


の状態になってしまいます。


  

  そういう状態で、形だけ上手の綺麗なフォームを真似てみても、お手本としているような人馬のスムーズな動きとは非なるものになってしまってしまうでしょうし、

このような状態が長く続くと、特定のアウターマッスルや腰椎への負担が大きくなりすぎて、故障や痛みを生じやすくなります。


身体を痛めず、上手に体幹を使って姿勢を安定させるには、

インナーマッスル>アウターマッスル


の状態にするような意識で、身体を動かしてみると良いかもしれません。



  そうして、体幹の「使い方」(筋力ではなく)を鍛えていくことで、特定のアウターマッスルの負担が減り、トレーニングをしているのに身体が辛い、というようなことも少なくなってくるだろうと思います。


  私自身、このことに気づいて、

無理に作った「正しい姿勢」を保とうと力み続けるのではなく、

なるべく力を使わずにバランスを保つことや、最小限の力・時間で扶助操作を行うことを意識するようになってから、

乗馬の後に腰が痛いといったことがあまりなくなっただけでなく、


  むしろ、逆に乗る前よりも身体の動きが柔らかく、軽くなるような現象まで起きるようになりました。


  運動後に身体が軽くなる、というようなことは、特定の筋肉に負荷をかけて「追い込む」ことで筋肉を大きくすることを目指すことがトレーニングだと信じているような方には、考えられないことかもしれません。


インナーマッスルを使うコツ

では、「インナーマッスルを優位に使った体幹の使い方」を鍛えるためには、どうすれば良いのでしょうか?


  ここでは特に、「股関節が抜けてしまっている」状態を直すちょっとしたコツをお伝えしたいと思います。


そのコツとは、「みぞおちを引っ込める」ようにするということです。


   股関節が抜けている人の特徴として、背中が反っていたり、みぞおちが張ってしまっていたりして、それによってアウターマッスルが過剰に働いている場合があります。


  ですので、みぞおちを引っ込めて軽く背中を丸め、坐骨を胸の下へ持ってくるような意識を持つことによって、上体の重みを椎骨から坐骨、下半身の骨格で分散して支えやすくなり、また股関節が外旋することでインナーマッスルが働きやすくなって、インナーマッスル>アウターマッスルの状態にしやすくなります。

 

  子どもを抱っこする時のような「腰を入った」姿勢をイメージしてみると、わかりやすいかもしれません。




  筋肉を鍛えて頑張っているけど、腕や肩が辛い、腰が痛くなってしまう、という方、

騎乗後身体が重く、動きが鈍くなってしまうというような方は、試してみて頂ければと思います。