そんな話をよく聞きます。
乗っているときは、頑張ってトレーニングしてるなぁ、という達成感に溢れていても、
終わった後は身体が重く、あちこちが痛くなっていたりするだけでなく、
なぜ、思ったような効果が出ないのでしょうか?
原因はいくつか考えられますが、その中で多くの方があまり気づいていなさそうなこととして、
「股関節が抜けている」ということがあるのではないかと思います。
股関節が「抜けている」、というのは、
いわゆる反り腰、内股、出っ尻の形に代表されるような、
重心軸の垂直線上から股関節がオフセットしたような状態の事で、
一見すると、太腿や背中、お尻の目に見える筋肉が緊張して力強い感じに見えますが、
上体にかかる負荷を全身の骨格へとうまく散らすことが出来ず、腰椎や特定のアウターマッスルに負荷が集中する一方で、股関節周りのインナーマッスルは充分に働かず、
筋肉の使い方のバランスが、
アウターマッスル>インナーマッスル
の状態になってしまいます。
このような状態が長く続くと、特定のアウターマッスルや腰椎への負担が大きくなりすぎて、故障や痛みを生じやすくなります。
身体を痛めず、上手に体幹を使って姿勢を安定させるには、
インナーマッスル>アウターマッスル
の状態にするような意識で、身体を動かしてみると良いかもしれません。
そうして、体幹の「使い方」(筋力ではなく)を鍛えていくことで、特定のアウターマッスルの負担が減り、トレーニングをしているのに身体が辛い、というようなことも少なくなってくるだろうと思います。
私自身、このことに気づいて、
無理に作った「正しい姿勢」を保とうと力み続けるのではなく、
なるべく力を使わずにバランスを保つことや、最小限の力・時間で扶助操作を行うことを意識するようになってから、
乗馬の後に腰が痛いといったことがあまりなくなっただけでなく、
むしろ、逆に乗る前よりも身体の動きが柔らかく、軽くなるような現象まで起きるようになりました。
インナーマッスルを使うコツ
では、「インナーマッスルを優位に使った体幹の使い方」を鍛えるためには、どうすれば良いのでしょうか?
ここでは特に、「股関節が抜けてしまっている」状態を直すちょっとしたコツをお伝えしたいと思います。
そのコツとは、「みぞおちを引っ込める」ようにするということです。
股関節が抜けている人の特徴として、背中が反っていたり、みぞおちが張ってしまっていたりして、それによってアウターマッスルが過剰に働いている場合があります。
ですので、みぞおちを引っ込めて軽く背中を丸め、坐骨を胸の下へ持ってくるような意識を持つことによって、上体の重みを椎骨から坐骨、下半身の骨格で分散して支えやすくなり、また股関節が外旋することでインナーマッスルが働きやすくなって、インナーマッスル>アウターマッスルの状態にしやすくなります。
子どもを抱っこする時のような「腰を入った」姿勢をイメージしてみると、わかりやすいかもしれません。
筋肉を鍛えて頑張っているけど、腕や肩が辛い、腰が痛くなってしまう、という方、
騎乗後身体が重く、動きが鈍くなってしまうというような方は、試してみて頂ければと思います。