舞台『新耳袋3』@中野ザ・ポケット | 文化家ブログ 「轍(わだち)」

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みなさまこんにちは!
先日2日に初日を迎えられた舞台『新耳袋3』の観劇レポートをお届けします

STORY

霞百合(かすみ ゆり)は警視庁捜査一課の刑事であったが、ある日奇妙な出来事に巻き込まれる。犯人の追跡中、捜査の課は違えど同じく警視庁の刑事である筈の男に言われた言葉「そのドアは開けない方がいい」そのドアが、霞の奇妙体験の始まりであった。

自分でも理解できない奇妙な時間を過ごすうちに犯人逮捕に失敗した霞は、その失態を理由に人事異動を命じられる。あのドアを「開けるな」そう口にした刑事がいる課、警視庁特殊事件特別捜査対策室に。

通常の事件とは全く違う案件を主に扱う特殊事件特別対策室で、霞は室長の高城に出会う。そして、高城とチームで捜査していくこととなった霞を、常識では考えられない特異な事件ばかりが待ち構えることとなる…。

捜査の果てに何がある?
何かを訴えたいこの世の正式な住人ではない者たちの『声』とは…?
(公式ホームページより抜粋)

原作は木原浩勝/中山市朗著(角川文庫刊)の「新耳袋」。(匿名で記載されている)実際の体験者の体験談を元に99の怪談が収録されたホラー短編集です。映画化や漫画化もされているシリーズで、今回の公演もいくつかの短編で構成されたオムニバス形式を取りつつ、最終的に一つに繋がるという構成になっていました。

私は原作を読んだことはなかったので原作と今回の公演がどの程度異なっているのかは分からないのですが、いくつかの怪奇事件が物語が進むごとに少しずつ絡まっていき、最終的に全体像が見えてくるという流れがとても綺麗でした。また、30名ほどの登場人物は各キャラクターがリアリティを持ちつつも個性的で、あれだけ沢山の方が出演していたのに、観終った今も各登場人物がどんなキャラクターだったか思い出せます。

特に印象的だったのは物語の中心になって事件現場に臨んでいく警察の2人、林野健志さん演じる警視庁特殊事件特別捜査対策室の高城室長と、木本夕貴さん演じる一課から異動してきた霞百合警部補。

一課から異動してきた霞警部補は今まで存在も知らなかった対策室に不信感丸出し、一刻も早い一課への異動を願っていました。対策室扱う案件を「オカルト」と表現し、霊的な存在も認めようとはしなかった彼女が、事件に触れ、実際の霊にも触れ、次第に価値観が変わっていきます。
「中途半端に投げ出すのは嫌い」と語る彼女の推進力は、時に問題アリですが、見習わなきゃなと思います

高城室長は、どこか冷めた印象でしたが、事あるごとにボケをかまし、「たまにはふざけるさ」とさらっと笑いを攫っていく姿がまたカッコ良かったですw
今回のストーリーテラー的な役割も演じており、不思議な世界に身を置く者の、どこかフワッとした立ち位置が素敵でした。

二人ともほとんど常に舞台上にいるので、そのセリフ量はすごいもの。
ちょっと別目線で感心してしまいました←

他にも霊感の強い外部協力者の吉原(個人的には一番好きなキャラクターでした)、霞と高城をつなぐ警視正、事件の打ち合わせに使われる喫茶店のマスターとウェイトレス、事件の被害者関係者…。
(生きてる人も死んでる人も)沢山の人の想いが溢れる作品で、2時間ほどの公演でしたが気付けばあっという間に終演でした。

事件ものでホラーものなので、結末はここには書きません。
是非その目で見て、体験してみてはいかがでしょうか

6日まで、中野ザ・ポケットで公演中です。



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