日本株 市況レポート|2026年6月24日

8連騰から一転、日経平均が2500円超の急落——なぜ下がったのか、これからどうなるか

6月22日に7万2831円と最高値を更新した日経平均株価が、翌23日に前日比2565円安(4%安)と急反落した。その翌日の24日も続落スタートとなり、方向感のない乱高下が続いている。この急落は何が引き起こしたのか。そして今後の相場はどこへ向かうのかを整理する。

直近の数字

6月22日(直近高値)

72,831円

6月23日(終値)

69,788円

下落幅

−2,565円(−4%)

PART 1 — なぜ下がったのか

1

米半導体株の急落が直撃

6月5日の米国株安でSOX(フィラデルフィア半導体株指数)が前日比10.3%安と急落し、S&P500情報技術指数も5.8%安となった。AIやメモリー関連ETFが基準価額を下回るパニック的な動きも見られた。23日も米ナスダックとSOX指数が再び急落し、その流れが翌24日の東京市場にも波及した。日経平均への寄与度が高いAI・半導体関連銘柄(フジクラ・アドバンテスト・東エレクなど)を中心に売り注文が膨らんだ。

2

米雇用統計の「良いニュースが悪いニュース」になった

5月の米雇用統計が市場予想を大幅に上回る強い内容だった。通常、雇用が堅調なのは株式市場にとってポジティブだが、中東情勢によるインフレ圧力が続く中での強い雇用は「FRBの利上げが近い」という連想を呼んだ。FRBが年内に利上げを行うとの市場の織り込みは、4日時点の67%から100%(年内に約1.2回の利上げ)へと跳ね上がった。金利上昇は株式の割高感を高めるため、特にPERが高い成長株(AI・半導体)への打撃が大きかった。

3

日本の長期金利も約29年ぶりの高水準

5月18日には新発10年物国債利回りが一時2.8%まで上昇し、約29年ぶりの高水準をつけた。中東情勢によるインフレ加速を背景に各国で金利が上昇しており、株式市場の逆風となっている。特に日経平均はPER22倍超の割高水準にあるだけに、金利上昇の影響を受けやすい構造だ。

4

8連騰後の「当然の過熱感解消」

日経平均は3月31日から6月3日にかけて34%も上昇しており、200日移動平均線との上方乖離率は31%と、1990年以降では2013年5月と2025年10月にしか見られなかった水準だった。SOX指数の乖離率も76%でITバブル期以来の水準。急騰後の「利益確定売り」は必然であり、今回の反落はその解消とみる向きが市場では多数派だ。

PART 2 — 今回の急落をどう分析するか

「暴落」ではなく「調整」の範囲内

今回の急落は2024年8月の過去最大下落幅(4,451円安)には及ばない。市場関係者の間では「金融システム不安による暴落ではなく、高値警戒感と米国株安が重なった調整」との見方が優勢だ。VIX指数(恐怖指数)も21台にとどまっており、パニック売りのレベルには達していない。

テクニカル的には下げ余地がある

テクニカルアナリストの伊藤智洋氏は「6月22日高値の7万2831円が戻り高値となって下降の流れへ入っている。下値の目安は6月11日安値の6万2335円前後」と指摘している。現在の6万9000円台はまだ下降の初期段階であり、下げ余地が残っているとの分析だ。

押し目買いが下値を支えている

24日の寄り付き後、いったんプラス圏に浮上する場面もあり、押し目買いを狙う投資家の動きが底堅さを示した。野村證券は「TOPIX3,350・日経平均50,250円近辺では個人・年金の押し目買いや自社株買いが増え、下げ渋りやすい」としており、この水準が実質的な下値の床となっている。

PART 3 — 今後の見通し

2026年末の3シナリオ

上振れ

日経平均 70,500円 / TOPIX 4,500

成長戦略が奏功し、コーポレートガバナンス改革が加速する場合。

メイン

日経平均 63,000円 / TOPIX 4,000

業績相場への移行が続き、PERが15〜16倍に収束していく基本シナリオ。現在地から1割弱の下落を想定。

下振れ

日経平均 53,000円 / TOPIX 3,500

中東情勢悪化・インフレ長期化により名目GDPが大幅下振れするリスクシナリオ。

今後の注目イベント

6月24日(本日)— 米マイクロン・テクノロジー決算。AI・半導体の需要見通しを左右する最重要決算。

日銀金融政策決定会合「主な意見」公表 — 6月15・16日会合の議論内容が公開される。追加利上げへの温度感を確認。

中東情勢の動向 — イスラエル・イランの停戦交渉の進展次第で原油価格とインフレ期待が大きく動く。

為替(ドル円161円台)— 円安が輸出企業の業績を下支えする一方、日銀介入への警戒感が高まりつつある。

総括

今回の急落は「暴落」ではなく、34%急騰後の「必然的な調整」だ。米金利上昇・AI半導体過熱感の解消・8連騰後の利確という3つの要因が重なった結果であり、金融システムへの不安は確認されていない。

ただしテクニカル的には下値余地が残っており、本日のマイクロン決算と中東情勢の行方が今後の方向性を左右する。メインシナリオの年末63,000円を基準に、6万2000〜6万5000円台での押し目を買い場と見るか、さらなる下落に備えるかが今の判断の分かれ目だ。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。