✴️🎉 オリジナル短編小説連載【アグレッション・デターレント】 9回目 🎉✴️
🎉✴️ オリジナル短編小説連載【アグレッション・デターレント】 9回目 🎉✴️
💗 【8回目からの続き】 💗
💮 オリジナル短編小説 🎉
🔥 ジャンル:SFアクション 🔥
🚫 許可無く、転載・パクリ禁止 🈲
【アグレッション・デターレント】
著者:jpt♂
【 続き 】
二.再び会議室
なつみ、裕子、鬼三郎、智恵、高倉、甲斐、大橋、吉良が4階の会議室に集合した。
高倉、甲斐、大橋、吉良たちは、それぞれ超小型高感度無線機のイヤホーンを片方の耳に付けていた。
所長・・・「我々の戦闘プロテクターが敵の武器に対してどれだけの効果があるのか、 皆目検討もつかんが、 しかし、何もないよりは数100倍もましだろう」
佐伯・・・「我々の調査では、敵は白神山中にひそんでしるらしいというところまで突き止めています」
佐伯・・・「現場へ行くマイクロバスを用意しています」
佐伯・・・「マイクロバスには当研究所で考えられる限りの武器と装甲を施しています」
佐伯・・・「万が一、 現地の人と接触した場合の事を考えて、都会の人間が休暇を利用してハイキングに来た風を装って下さい」
所長・・・「検討を祈る」
ハイキングを装う為に全員にそれぞれ、まちまちの普通のジャンパーが渡された。
全員ジャンパーを着てマイクロバスに乗り込んだ。
なつみも裕子も恐怖で顔がこわばっていた。
そして、うながされるままに、すごすごとマイクロバスに乗り込んだのだった。
車内はいろいろな電子機器が積まれていて狭かった。
裕子・・・「狭いわね」
運転は高倉が担当することになった。
全員無言のまま、マイクロバスは走り出した。
裕子・・・「すっごい緊張するわ」
裕子・・・「死ぬかもしれないのよね」
なつみ・・・「私怖い」
高倉・・・「我々が全力を尽くして守ります」
【第四章 捜査開始そして遭遇】
一.白神山中
車は白神山の奥深くまで入り込んだ。
幸運にも、その間、地元住民には会わずに済んだ。
日も暮れて、山中の事もあり、辺りは既に暗くなっていた。
高倉・・・「この暗がりでこれ以上進むのは危険です」
裕子は周りに注意を払った。
裕子・・・「今はなにも感じないわ」
高倉が車に装備したコンソールパネルのボタンを押した。
車の屋根からビィーンという音とともに小型カメラと共に小型パラボラアンテナが出て来た。
車の中のモニター画面に、そのカメラがとらえた映像が映し出された。
高倉・・・「高性能の暗視カメラです」
それは暗がりでも昼の映像のようにはっきり見えた。
高倉・・・「外の明るさに応じて通常の監視カメラに自動切り替え出来るすぐれものです」
高倉・・・「100倍望遠機能も付いているんですよ」
甲斐・・・「これは、高性能の暗視カメラですが、 超極細色素判別機能付きですから、敵の姿もこれで発見できますよ」
なつみ・・・「へー、すごいね」
大橋・・・「我々が交代で監視しますから、 皆さんはお休みください」
鬼三郎・・・「今日はつかれたー」
鬼三郎・・・「ひさしぶりに長時間歩いたからなー、おれは寝るぞ」
鬼三郎・・・「おやすみ」
智恵・・・「ハイハイ」
裕子・・・「おやすみなさい」
なつみ・・・「おやすみなさい」
マイクロバスは狭いが眠るのに支障がないほどのスペースは確保してあった。
なつみも裕子もすぐ眠りについた。
裕子は恐い夢を見ていた。
あの悪魔の姿をした生き物が、そっと裕子の後ろに回り込み、その毛むくじゃらの手、 その指からニュッと鋭く長い爪が現れた。
その手が、いまにも後ろから裕子につかみかからんとしている。
もう一人の裕子が斜め上からそれを見ていて、声を限りに危ない、逃げてーと叫んでいた。
しかし、声が出ない、聞こえない。
その悪夢にうなされて、 裕子はハッと起きた。
智恵も気配に気付いて起きた。
吉良・・・「どうかしましたか」
驚いた様子でモニターを監視していた吉良が言う。
裕子には外部からこちらに向けられた意志を感じていた。
二.遭遇
裕子・・・「殺気だわ。 誰かこちらに近づいてくるわ」
吉良はサッと緊張し、寝ている他の仲間をそっと起こした。
裕子も鬼三郎となつみをそっと起こした。
なつみ・・・「どうしたの、姉ちゃん」
裕子・・・「シーッ」
裕子は口元に人差し指を1本立てて小さな声で言った。
裕子・・・「なにか近づいてきてるわ」
裕子・・・「感じるわ」
全員がモニターを凝視した。
屋根の上のカメラはゆっくりと360度回転している。
そのカメラがぴたりと止まった。
なつみ・・・「どうしたの、カメラが止まったわ」
吉良・・・「このカメラはサイが制御していて、何か異常を発見するとそこで止まります」
吉良がすかさずそこをズームアップした。
モニターに敵の姿が映る。
顔に角があり、背にはがっしりした羽らしきものがあった。
背筋がぞっとする、おぞましい悪魔の姿に、鬼の様な顔があった。
高倉・・・「やつらだ」
高倉・・・「1体、2体、3体いるぞ」
高倉・・・「全員ヘッドギアを付けろ」
高倉・・・「アイスコープセット」
カチッカチッカチッというアイスコープをセットする音が車内に響いた。
裕子・・・「すごい殺気よ、来るわ!!」
智恵・・・「うっ!!」
周りの景色がゆらりとゆらいだ。
と同時にピカッと光が車めがけて飛んだ。
「ババッ」「ビシッ」「ビィーン」車が激しく揺れた。
大橋・・・「敵の攻撃だ」
しかし、なつみ達はなんのダメージも受けていなかった。
智恵の顔からみるみる血の気が引いて行った。
青ざめた顔に汗が光った。
智恵は合掌し宙をにらんだままだ。
バリアーを張ったのだった。
智恵が車の周りに能力最大のバリアーを張っているためワゴン車の周りがゆらゆらゆらめいている。
智恵・・・「白魔術の奥義、 白魔八方防陣よ」
鬼三郎がその間にすばやく車の外に出た。
鬼三郎 ・・・「カッ!!カッ!!カッ!!」
鬼三郎は短く鋭い気合を発っした。
その瞬間、鬼三郎の気が光速となって茂みに飛んだ。
茂みがパッと明るくなった。
「ドゥン!!」という轟音とともに茂みの周りの木々も「バリン!!」と割れた。
エイリアン・・・「ギェッ!!」
裕子・・・「死んだわ」
裕子・・・「意識が感じられるのは一つだけよ」
智恵・・・「あとの二つはどうしたのかしら」
裕子・・・「さっきの場所から感じられるわ、でも弱い」
大橋・・・「たぶん、あの三体は先遣隊でしょう」
大橋・・・「やはり、この近くにやつらの基地があるということですね」
吉良・・・「たぶん、我々の動きは全てやつらには見えているんでしょうね」
吉良はボリボリ頭を掻いた。
なつみ・・・「あの光はなんだったのかな?」
なつみはぶるぶる震えながら言った。
なつみ・・・「それに、お父さんもお母さんも、こんな事が出来るなんて知らなかった」
智恵・・・「出来れば裕子にもなつみにも知られずに、 普通の生活を送れたらといつも願っていたの」
高倉・・・「最初にピカッと向こうから光ったのは、むこうはレーザー銃のようなもので撃って来たんですね」
高倉・・・「まともにあれにやられていたら我々も危なかったよ」
智恵・・・「あれは、私がこれまで体験したどんな衝撃とも違っていたわ」
智恵・・・「もう少しで私の白魔術も破られるとこだったわ」
智恵・・・「あぶなかったわよ」
智恵は疲労こんばいしていた。
大橋・・・「これで、我々でもなんとか戦えるということがわかりましたね」
鬼三郎・・・「いや、まだ油断は出来ん」
鬼三郎・・・「こちらは、向こうの動きがわからん」
鬼三郎・・・「次はやつら、どんな武器で攻撃してくるか」
智恵・・・「ひとまず危険は無くなったみたいね」
智恵はためいきをついた。
智恵・・・「あそこへ行ってみましょう」
高倉・・・「どんなやつなのか見てみましょう」
鬼三郎・・・「おまえたちはここにいなさい」
鬼三郎は裕子となつみに言った。
なつみは裕子の手を無意識のうちに握ってふるえていた。
【 続く 】