愛すべきオーストラリアのアスリート達 | オーストラリア移住日記

オーストラリア移住日記

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現在、イングランド中部のバーミンガムでコモンウェルス大会が開催されている。

日本では馴染みの薄い大会だが、コモンウェルス大会はイギリス連邦に属する国が参加して行われる大会で、各々の国民にとってはオリンピックに次ぐ大きなスポーツイベントなのだ。

 

7月28日に開幕して以来、オーストラリアはメダルラッシュに沸いている。

競技種目はオリンピックとほぼ酷似しているが、クリケットが含まれているのが嬉しい。

ラグビー7Sは、AUSの他にイギリス4ヶ国、NZ、南ア、フィージーなどの強豪が揃っているため、正に世界一決定戦の様相だったが、女子7Sはフィージーを22-12で破ったAUS女子7S代表が金メダルを獲得した。

チャンネル7が放送権を持つようで、朝晩のニュース報道は熱を帯び、その時間枠も大幅に延長され、今朝は女子7Sの選手達がスタジオ・インタビューに登場した。

 

7月31日(日)朝のチャンネル7"SUNRISEニュース"は、言わずもがなオーストラリアのメダルラッシュを伝えていたが、その途中からショッキングな話題として、自転車競技におけるオーストラリア選手の転倒の画像が映し出された。

その選手はMatthew Glaetzer(マシュー・グレッツァー)29歳。

転倒に巻き込まれたイングランドの選手ジョー・トルーマンは脳震盪を起こし、酸素吸入をしながら車椅子の退場を余儀なくされた。マシューは立ち上がり自らトラックを離れたが、ウェアの腰の部分が痛々しく破け、その部分の火傷と肘に刺さった部品の除去を必要としたようだ。

 

私は自転車競技に詳しくはないが・・・

この転倒は、大勢の選手が時速70km以上のスピードで競い合う"ケイリン"と呼ばれる競技で起こったが、距離の異なるケイリン競技では、ある国の選手が客席に飛び込み、選手や客がタンカで搬送される映像が映し出されていた。

正に自転車の格闘技のような競技である。

この種目でマシューは金メダル候補の筆頭と期待され、過去の大会や他種目も含めコモンウェルス大会で5個目の金メダルを目指していた。

 

日曜のチャンネル7SUNRISEニュースに戻るが、このショッキングなニュースと映像の直後に、マシューの両親が揃ってインタビューに登場した。

素晴らしい結果に対する親へのインタビューを見掛けることはよくあるが、このショッキングな状況下での両親へのインタビューはちょっと驚きだった。

 

見るからに優しそうな父親は、「マットはがんの手術も乗り越え、痛みには強い子なので心配していません」と言い切り、最後に母親が「私は息子を誇りに思います!」と締め括った。

確かにマシューは2019年に甲状腺がんの手術を受けていたが、東京オリンピックにはオーストラリア代表として出場し、メダルには届かなかったが5位に入賞している。

 

"horror cycling crash" 
記事の見出しにはホラーと書かれ、次にマシューがエントリーしている1kmスプリント競技(単独で走るタイムトライアル)への出場は危ぶまれていた。

8月2日(火)朝のニュースから「マシュー金メダル獲得」のニュースが飛び込んで来た。

ホラー(恐怖)クラッシュから2日目、痛みはピークだったに違いない。

アデレードで生まれ育ち、10代の頃は陸上(棒高跳び)の有望選手だったが、大きな怪我を負いトライアスロンに転向、父親の言う"痛みに強い子"には、息子が体験したそんな負の思い出も含まれているだろう。

イケメンなマシューが更に輝いて見えた。

 

マシューの両親のTVインタビューへの回答や毅然とした態度は、正にアスリートの親としてあるべき姿のように思えてならなかった。

何も知らなかった私が、このニュースから自転車競技に興味を持ち始めている。