たった4泊、されど充実感に溢れた訪日 | オーストラリア移住日記

オーストラリア移住日記

憧れから、移住決行、移住後の生活、起業、子育て、そして今・・・

2014年3月8日~9日、日本で ”アドバンスト・セミナー” を開催した。

終了後に即オーストラリアにとんぼ返り。

東海大学仰星高校ラグビー部(3/12~15)、東海大学ラグビー部(3/15~23)のオーストラリア遠征(強化キャンプ)のコーディネートがあったのだ。

 

今回は、2年ぶりの日本でのセミナー開催だった。

多くの友人や仲間のサポート、また集まってくれた100名を超すコーチの熱心な姿勢に後押しされ、私自身、心から満足感や達成感を感じることが出来た。

そして、今回も久しぶりの再会や新しい出逢いに恵まれた。

 

満足感や達成感の陰には、オーストラリアのコーチ達の常に手を抜かない姿勢がある。

訪日前にミーティングを重ね、最新の理論やトレーニング法、指導要綱のプログラムを完璧に準備してから訪日に至る訳だが、セッション内容はもちろん、セミナー中のコーチ2人の一生懸命な姿勢や的を得た言葉の数々・・・ 運営的な面からも私は胸を張りたい。

我々の開催するセミナーは、最も優れたセミナーの一つなのだ。

新しいチームとして出発したばかりの桐蔭学園の選手達にデモンストレーターを託したが、期待通り、選手達の取組む姿勢もスタッフのサポートも完璧だったし感動ものだった。

 

年度末試験を終えたばかりの選手達、スタッフは丹念にウォームアップを怠らない。

プログラムのほとんどが、選手達自らが考え判断して身体を動かすことを求められるドリル(練習法)ばかりで、ベイシックなスキルが身に着いていなければ機能しないのだ。

 

数回の繰返しで、選手一人一人が見事にオーストラリアのコーチの意図を理解し、チーム全体が動き出すが、集中力の限界を考えた1ドリル/15分の予定時間が終了する頃には、選手達には実戦さながらの集中力が感じられるようになる。

いわば、実戦を想定した理想的なセッションなのだ。

全国からこのセミナーに集まったコーチ達は、オーストラリアのコーチ達の指導やアイデアは元より、選手達の取り組む姿勢や進歩の様子を直に見て、それを自チームに持ち帰る。

マネージメントを担当する私は、遠巻きにセミナー全体を観察し、次回は?を考える。

明治大学ラグビー部OB山田さんが、九州の福岡からこのセミナーに参加してくれた。

80歳を超えた今も、福岡「迷惑ラグビー倶楽部」の現役プレーヤーとして活躍しているが "ラグビーと共に生きるナイスガイ" であり、私にとっては大切な兄貴なのだ。

学ぶことへの意欲は旺盛で、「いやぁ、勉強になったけん、嬉しかぁ」 を何度も繰返す。

「加藤さん、また、オーストラリアに行きたくなりよったとよ」 

そんな山田さんの飾らない博多弁が、私に対する「これからも頑張れ」 という励ましのメッセージに聞こえてならないのだ。

 

今回のセミナーには女性ラガーの参加もあった。

次のリオデジャネイロ五輪から "7人制ラグビー" が正式種目に加わるため、日本では男子も女子も7Sラグビーが盛んになりつつあるようだ。

そのため、今回のセミナーには7Sの指導も加えた。

 

"フェニックス" というチームからデモンストレーション参加のオファーがあった。

今後女子ラグビーが盛んになるのを想定し、私はそれを快く認めた。

全レベル、年代、そして性別にも機能するコーチングこそが、我々が目指すセミナーである。

その意味で、今回の女性の参加はとても貴重なトライアルだった。

有料のセミナーであるにも関わらず、100名以上のコーチが参加してくれた。

それぞれのコーチから、「自チームの発展ばかりでばく、微力でも日本ラグビー界に貢献したい」という言葉があり、それが私と彼らを繋ぐ生命線なのだと感じる。

そう、私が目指した「お金を払ってスポーツを学ぶ」文化が徐々に根付いているのを感じる。

 

それでも、潤沢な経費もスポンサーも無い中、毎回赤字覚悟で開催している。

もちろん、今後継続できるかどうかも不透明である。

それでも、少しでも経費を減らすために、仕事を休んで長男隼人も通訳を買って出た。

「通訳しながら、コーチの真剣な眼差しや姿勢を観て、僕もヤバイと思ったよ

オーストラリアのコーチ達の言わんとする意図や理論を一言も漏らすまいと必死だったようだ。

25年前にオーストラリアに移住して以来、私の背中を見ながら育って来たが、28歳になった今、若者から成年へと脱皮しようとしているのが感じられた。

セミナー終了後に、有志が集まってアフターファンクション(懇親会)を開催した。

驚いたことに60名以上が参加、とても有意義で楽しい時間となった。

長老山田さんの乾杯の音頭でキックオフとなったが、この1月に自チーム桐蔭学園を準優勝に導いたコーチ陣がホスト役を快く買って出てくれた。

彼らはセミナー開催中のグラウンドでも、裏方に徹してくれていたのだ。


強さとは別に、愛されるチームがどのように作られるのかを垣間見るようだった。

それは私ばかりでなく、参加したコーチの多くがそう感じたに違いない。

将来、どんなに強いチームになっても、この姿勢を続けてもらいたいものだ。


コーチ仲間同士の信頼の深まり、また、新たな出逢いによる互いの信頼の始まり、今回開催したセミナーや懇親会から、私は多くの宝物を得た。

大学時代の先輩や同期、後輩もわざわざ激励に駆け付けてくれた。

そのような仲間達のためにも、私はこの努力を続けて行かなければならないのだ。

たった4泊の日本滞在だったが、私の心は充実感で溢れそうだった。

*懇親会の写真/晝間淳子さん提供