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 わからないと、うまくいかない。わからなくてもうまくいくことはあるけれどわからないとやっぱりうまくいかない。

 よだたろうにはどうにもわからない。なんでみんながそうしているのかがわからない。たのしくってそうしているのだろう。うれしくってそうしているのだろう。そうすることでだれかがよろこんだりよろこぶひとをみてじぶんがよろこんだりするからそのひとはそうしているのだろう。しょうがなくそうしているのだろう。がまんしてそうしているのだろう。それをしないといきていけないからなにかりゆうをつけてなっとくしてみたりつらいなかにもたのしみをみつけたりしてがんばりふんばりちからをふりしぼりそのひとはそうしているのだろう。よだたろうにはそれがわかる。よだたろうにはどうにもわからない。わかるもののむこうでいきているみんなのほんとがどうにもわからない。

 わからないのでね、よだたろうはしょっちゅうおこられる。こわいかおでにらまれるし、つめたいとがったことばをあびせられる。そんなときよだたろうはちぢみあがる。わからないひとにわかるりくつをいいかえしてもっとわからなくなったりしたところで、わかるりくつをおたがいわかりあってうまくやりとりがいったりきたりしてとてもたいらでへいわでやすらかなきもちになってよかったなとおもってみたところで、それがそうなのは、それのぜんぶがわからないものにのみこまれてわからなくなったからなのだとよだたろうにはわかってしまうから。よだたろうはちぢみあがる。ちぢみあがって、わからないものがすぎさっていくのをただまちつづける。もういったかな。そうおもったとたんにまたやってくる。あれをこうしろそれをこうしろといわれるからあれをこうしてそれをこうしなきゃならないしそのためにあっちへいってこっちへいってあれをしてこれをしなくちゃならないし。よだたろうはそれがいやではない。そうしなきゃならないことがどれだけたいへんでもよだたろうはそれをするのがいやではない。そうしなきゃならないからそれをする。それをするのだけれど、よだたろうはたいがいいつでもどこでもうまくやることができないからおこられたりきらわれたりむしされたりしてちいさくちいさくちぢこまっていきている。

 なんにもなかったところがぽこりとふくらむ。ふくらんだところが、よだたろうのうまくいかないところをうまくいかないところとしてかたちにする。それでうまくいくわけではまったくない。うまくいかないことはうまくいかないけれどぽこりとふくらんだところがうまくいかないところはこれだといいあてる。みごとにいいあてる。ぴたりといいあてる。するとよだたろうはらくになる。なんでよだたろうはよだたろうではないひととうまくやることができないのか。なんでよだたろうはよだたろうではないひとのことがよだたろうとおんなじようにわからないのか。それをぽこりがすっかりいいあてる。いいあてられると、いいあてられているようにしかおもえない。いいあてるためになんにもなかったところからうまれたぽこりがいいあてているのだからそれはどうしたっていいあてられるだろうとおもうけれどそんなことはよだたろうにはどうでもよくてとにかくすっきりさっぱりきもちよくなる。そういうことだったのだなぁ。そこがそんなふうにからまっていたのだなぁ。そういうときにそうするとそうなるのだなぁ。だからそうしてそうするとうまくいくのだなぁ。それでうまくいくわけではまったくない。でもきもちがいい。とろけそうになる。あたまのなかのもやもやがぜんぶふきとんでさわやかなかぜがやさしくふきわたる。なにをやってもうまくいくきがする。じしんとちからがいっぱいにみちあふれる。うまくはいかない。なにもかわらない。でもぽこりがうまくいかないことにかたちをあたえてみえるようにする。みえるようになると、きもちがらくになる。こころがかるくなる。だからよだたろうはぽこりといっしょにいきた。ぽこりとかさなり、ぽこりととけあい、よだたろうというぽこりはいきつづけた。