ロシアとサウジはどちらが勝者? | 木下顕伸の日本・中東・世界情勢の解説

木下顕伸の日本・中東・世界情勢の解説

中東情勢を理解すると世界がわかる!日本人は中東問題に無関心だが石油の輸入依存は周知。中東問題、欧米・ロシア・アジアとの関係は、理解不能でも石油利権の考察で、複雑な関係は理解できる。そして、世界から見た日本のあり方も見えてくる。

1、プーチン大統領は、欧州のコロナ対策を察知し原油、ガスを安売りした。背後には、ロシアのロスネフティ社が後押しをした。
 

2、欧州が国境封鎖を行い外出を控え、工場の稼働が減少すれば、石油天然ガスの消費も減少する。それを見越して素早くロシアが売り抜けた。
 

3、腹一杯に欧州=ドイツが買っていれば需要はない。供給過多の欧州に売るには当然価格を下げざるを得ない。つまり地政学的にも地経学的にもロシアが有利であり勝者はロシアである。
 

4、サウジは、イラク、シリアのパイプラインを使えない。米国と同盟国のサウジは、米国のシェールガス、オイル会社と協調しなければならない。減産協調を行い価格をシェールガス、オイルの損益分岐50ドルを確保する必要がある。買い手を欧州ではなくアジアに求めなければならない。アジアの需要があれば欧州で負けてもアジアで勝てる可能性はある。特に日本は、円高で購入のチャンスでもある。
 

5、イランが経済制裁を受けている以上、ペルシャ湾危機にも問題はある。しかし、イランはコロナの拡散抑止で精一杯である。湾岸危機は回避されている。
 

6、、イラクもシリアを使えない以上欧州向けのパイプラインは使えない、しかしアジア諸国向けに輸出をしたい。今のイラクはイランの属国に近い。イラクでもコロナが拡散している。原油輸出で経済を支えるイラクもサウジアラビアに同調する他ない。ましてや経済制裁を受けているイランは、イラクを通じた密輸をする他ないだろう。他の湾岸諸国がそれを見知らぬふりをしてくれればペルシャ湾封鎖はない。
 

7、本当の勝者は誰なのか?先物取引業者である。事前に価格下落を知っていれば先物売りをした者が本当の勝者かもしれない。現在株価の下落が止まらない。コロナショックに乗じて株も同じく売りかければ儲かる。本当の勝者は金融資本家かもしれない。

 

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