大き な窓から東京タワーが真近に見えるリビングルームで、Y氏は機関銃のような速口英語で不満をぶちまけた。
「3年も5年もかけてやっと話せるようになるやり方じゃ意味がないんだよ」
「この教科書を使って30回ぐらいレッスンしたけど、何ひとつ意味のあることが話せるようになりゃしない」
「もうウンザリだ」
「『私は会社員です』って言えたからって何になる。そんなことよりタクシーにのって自宅までの行き方を説明したいんだよ」
「娘の幼稚園に行って先生に『こんにちは』しか言えない。大人として丁寧な表現も使ってきちんと話がしたい」
「まわりが思ってるよりもずっと聞き取れている。日本人はこっちが習うよりもずっと複雑な言い方をしている。自分だってそういう言い方をしたいんだ」
アメリカの有名大学でMBAを取得して仕事の上でもやり手のY氏、日本語でコミュニケーションを取ろうとした途端に幼児なみになってしまう(そのように扱われる)ことに苛立ちを覚えている。
その場その場で必要な表現や会話を習いたい。積み上げ方式にはウンザリということらしい。
その苛立ちは分かるけれど…。situational functional日本語でレッスンを組み立てていこうか。