姫路の円教寺(えんぎょうじ)は「西の比叡山延暦寺」と呼ばれている歴史ある寺院。

貴族出身の性空(しょうくう)上人が延暦寺を出家した後、書写山に入り平安時代の966年に創建された寺院です。
性空上人は55才の年齢だったそうです。
東の「比叡山延暦寺」と西の「書写山円教寺」と呼ぶと分かりやすいです。
境内にはその栄華をあらわす優美な仏像が多数安置されています。

書写山には、各お堂や塔頭が山の中に配置されていて、延暦寺が原点にあり、性空上人は円教寺をつくったのだろうと感じさせます。


現在、三つの特別公開が行われており、足を運びました。
・摩尼殿には如意輪観音が17年ぶりの御開帳
・大講堂の釈迦三尊のお隣りには90年ぶりに四天王が戻ってきての特別拝観。
・そして、食堂ではチームラボの光の展示も行われています。

円教寺では、内陣や仏像の写真撮影ができ、

またSNSへの掲載もOKで、おおらかな雰囲気を感じる寺院でもあります。

■摩尼殿(まにでん)
紅葉の下の橋をわたると、突然面前に現れる摩尼殿は、圧巻です。
同じかけづくりの清水寺と違い下から見上げるのでとても迫力があります。

大正時代に焼失した堂は、昭和8年に再建。

武田五一が設計に関与しています。

焼失したはずだった如意輪観音が、2006年に発見。鎌倉時代の仏像です。

この奥秘仏の如意輪観音が9月末までご開帳されています。

昭和初期の再建時につくられたお像が後ろに一緒に置かれており、何か微笑ましい雰囲気もあります。

※以下の写真は円教寺HPより


■三之堂(みつのどう)
摩尼殿から少し奥に行くと、大講堂、食堂、常行堂がコの字型に立ち並んで「三之堂」を形成しています。室町中期の建物です。
2003年に渡辺謙さん主演のラストサムライの撮影舞台となったところです。

コの字型の広場は、ヨーロッパの広場のようで、日本の寺院ではあまり見かけない空間です。


■大講堂

圓教寺の本堂に当たる堂で、お経の講義や論議が行われる学問と修行の場。
延暦寺の根本中堂と同じつくりです。

内陣には、

昭和8年の摩尼殿再建時に移設された四天王が釈迦三尊のお隣りに90年ぶりに戻りました。

如意輪観音像に首をかたむけ寄り添う、文殊菩薩(もんじゅぼさつ)と普賢菩薩(ふげんぼさつ)も心なしか嬉しそうに見えます。

※以下の写真は円教寺HPより


■食堂
修行僧の寝食のための建物。
二階建で、長さ約40メートルとの希望が大きな建物です。
二階が未完成のまま、数百年放置されたものを昭和38年の解体修理で完成の形にされた。
サクラダファミリアのようです。

食堂と常行堂の屋根がぶつかっています。

明らかな設計ミス。
エネルギーや思いが強く、想定以上に大きくなったのでしょうか?
寺院では珍しいすがたです。


食堂ではチームラボによる光の演出。

一階に特設展示が設けられ、赤い光から梁柱がまた違ったものとして表現されています。

※以下の写真は円教寺HPより