藤野家住宅は、京都御所の南側にある京町家。
大正15年(1926年)に建てられた、築約100年。
登録有形文化財です。
 
江戸時代は公家の屋敷が建ち並んでいた地域ですが、
今は、マンション、ビルが建ち並ぶなか、
通りに面して高い塀を構える大塀造(だいべいづくり)の町家として、清楚なたたずまいが残っています。
 
※以下写真は、藤野家住宅HPより

建設されたのは、現当主のおじいさんだそうで、

それを大切に維持されており、当時のまま今も使われています。
 
特徴ある工夫が各所に設けられており、
建て主と棟梁(三上吉兵衛)の双方の想いが結集したような京町家。
 
玄関門の脇に玄関をくぐると脇に供待(ともまち)が。
また、建物内の各所に数寄屋風でつくられています

 

そして、写真右側には茶室を兼ねた四畳半の客用玄関があり、
建設時の当主がお茶をたしなんでおられ、接客の場でもあったそうです。

茶室横の坪庭に小さな自然が濃縮されています。

奥には家族用玄関が、別途設けられています。

 
主屋に入ると、座敷には床の間と書院が。
その向こうは蔵との間に中庭がある京町家のつくりです。
 

建具や欄間がとてもきれいです。

現代建築でも、思いをもってつくられた建築は、建具にも反映され見どころあり、
時代に関わらず、通じるものがあります。

坪庭の灯籠やつくばい。

これらを眺めているだけで時間が忘れそうです。

 

二階には上客の座敷間が。

床の間もこのつくり、また書院窓にも繊細な意匠が施されています。

 

お話を伺うと、
補修等がやはり随所にかかるそうです。
公的補助金も一部のみで、
個人負担により維持されているのは、
各地の古民家に共通した課題。
 
所有者の方々が耐えかねなくなる前に、何らかの手立てを行うことが
歴史ある建物を後世につなぐ課題であることを改めて思います。