土門拳の「古寺巡礼」展が、東京で開催中です。
飛鳥から桃山時代の39カ寺の写真作品を残した写真家。

写真を通じて土門拳の目線から、古寺や仏像を伝えてくれます。


そこには、たくさんの気づきや発見をいただきます。

※薬師寺三重塔(展覧会HPより)

※中尊寺金色堂(書籍「土門拳の古寺巡礼」より)


徹底したこだわりの信念や執念があり、
古寺や仏像が好きを通り越して、
写真を通じてその古寺の価値と自分の思いを社会に伝えたかったのでは、と思います。

例えば、仏像写真のライトのセッティングは自分でする。絶対に人にさせない。局部写真の表情づくりがまったく異なるためだそうです。
テーマとした室生寺では、雪が降るまで待機していたりとか。


雪が積もった写真へのこだわりが、各寺に見られ、木、漆喰などの古色が雪の白さにとても映えることを気づきます。


※中尊寺金色堂(書籍「土門拳の古寺巡礼」より)


 室生寺金堂 十二神将立像(展覧会HPより)

※平等院鳳凰堂の見上げ写真(書籍「土門拳の古寺巡礼」より)


法隆寺の列柱、足元部が細くなったラインがほんとうに美しいです。

※法隆寺の列柱写真(書籍「土門拳の古寺巡礼」より)



当展覧会は、
土門拳と一緒に古寺への旅ができる、楽しくまた興味深いものでした。
かつて訪問した寺も多々ありましたが、
一面を切り取った写真とコメントからは、現地に行っても気づいていないことを、たくさん伝えてくださっています!

■最後に、心に残った土門拳のメッセージから
□古寺巡礼について
古寺巡礼は、ぼくの分身として、
「ひとりの日本人の、みずからの出自する
民族と文化への再認識の書として、
愛惜の書として」世に残すことができた。
日本人たる写真家として、
その使命を全うできたぼくは、仕合せものである。

□古寺巡礼のお寺選びについて
寺や建築、仏像選びにあたり、学者による歴史的位置づけを問題にしたり、寺格を尊ばない。
自分が睨んで、ハッと胸打たれたものばかり。

□仏像を写すこと
仏像を写すには、仏像をじっと眺めること。

□好きな建築
好きな建築は、
三仏寺投入堂、薬師寺三重塔、室生寺五重塔、高山寺石水院。
豪壮で強い、非常に個性的。
日本の文化は、中国、朝鮮の下流に位置づけられるかもしれないが、他にない個性がある。