聖林寺、奈良県中部にある712年早慶。
談山妙楽寺(現 談山神社)の別院として藤原鎌足の長男が建てたとされています。

明治時代に美術研究者フェノロサにも見いだされた、国宝 十一面観音菩薩がある寺院です。

■十一面観音菩薩
江戸時代までは、大神(おおみわ)神社の今は無き大御輪寺(だいごりんじ)に所蔵されていましたが、
廃仏毀釈での被害を避けて、1868年聖林寺に預けられ、今に至るもの。
※写真は、聖林寺HPより

当時の両寺住職さんが社会の良くない流れに屈さずない英断があって、観音菩薩を今私たちは目にすることができます。

観音様は小顔です。
正面と横で表情が違うを見せます。

境内からは、十一面観音立像があった三輪山を見渡すこともできます。

■観音堂
1959年に建てられた、日本初の鉄筋コンクリート造りの収蔵庫。築63年。

建物が傷み、耐震補強を行うため、増改築工事が行われ竣工し、この8月から一般公開されています。
※写真は、NHK「奈良NEWS WEB」より。

設計は建築家 栗生明さん。
平等院ミュージアム鳳翔館やHOTEL THE MITSUI KYOTOなど、現代に合わせた歴史的建築をつくってこられた設計者です。

ここ聖林寺でも、
十一面観音立像を、現代の最高の環境で拝観できる環境をつくってくださっています。
次世代の方々が今日と同じように拝観している様子が浮かび、また観音様もきっと喜んでおられるように思います。
構造は、免震機能付きの収蔵庫に改修。

外陣のベンチから、お参りの場からは、額縁をきり取ったように見え、照明映し出された観音菩薩が美しい佇まいを。
そして内陣に入って、360度各所から詳細に眺められます。
それぞれの場所から、十一面観音菩薩が違った見え方をします。
※写真は、聖林寺HPより

ガラスが映りこまない配慮も見られます。
内陣天井はドーム状になり、宇宙の中心に観音様をおく考え方。

内装壁は吉野杉。
そして、外装コンクリート打放しの型枠も吉野杉。

■外部まわり
石垣は、まるでお城のよう。