京都府北部にある、与謝野町加悦(かや)。
ちりめん産業の繁栄とともに栄えた町に「ちりめん街道」としての町並みが残されています。
江戸から明治・大正・昭和初期にかけて高級織物丹後ちりめんが隆盛を極めた場所。
当時の商家や医院、銀行など、ちりめん産業により町を近代化した建造物が残されています。
京都府下の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)7つのひとつ。

一般公開された建物が旧庁舎と民家一棟だけで、土産物店もなく、普通に住まわれる住宅が連なっています。
観光目的でない重伝建指定。
歴史的町並みを残そうとした、町の方々の思いだったことと推測します。
どのようにして町の合意を進められたのだろうか、と思います。

■旧尾藤家住宅
1863年に建築された丹後ちりめん商家。築160年。
白壁とちりめん格子の独特の雰囲気の建物。

大型農家を基本とした丹後ちりめん商家、
そして昭和初期の洋風住宅の和洋が融合した建築が評価され、京都府指定有形文化財に指定されています。

20年近く使われてなかった建物を町がゆずりうけて、町の資産として維持公開されています。

ちりめん商、鉄道社長、町長を行った尾藤家は、町の名士とも言え、これだけの住宅を残せた理由のひとつでもあると思います。

□洋館
昭和3年(1928年)竣工。
加悦町長だった当主が、洋館に強い思いがあり、
当時大林組設計部長の今林彦太郎に助言を仰ぎながら建てられたもの。

2階洋館応接室には、椅子や机、ベッドなどすべての調度品は製作図面が残されており庄蔵による特注品。

■旧加悦町役場庁舎
ちりめん街道の北側入り口に建つ旧加悦町役場の庁舎。丹後ちりめんによる繁栄ぶりを今に伝えるものです。
昭和4年(1929年)竣工の築約100年。
前年の丹後大震災で倒壊した庁舎に変わる新庁舎として、当時の町長であった尾藤家11代・庄蔵を中心に計画されました。
設計は宮津出身で甲子園球場を設計した、当時大林組設計部長の今林彦太郎。
現在は与謝野町観光協会、およびシルクブランド産品の展示、シルク手作り体験などの拠点として活用されています。
1階町長室。
行先表示がユニークです。
ちりめんを使った観光案内。
淡いカラーが優しいです。

■酒蔵

■銀行
銀行建築らしくないところに歴史を感じます。

■医院の洋館