當麻寺(たいまでら)、奈良南部の1400年歴史を積み重ねたお寺です。
白鳳・天平様式の大伽藍を有する古刹。

當麻寺そのものは、本堂、金堂、講堂だけ。
といっても国宝、重要文化財です。
写真左から、金堂、本堂、講堂。

塔頭(たっちゅう)が13あり、この3つの建物を取り囲んでいることが、他のお寺には見かけない當麻寺の特徴です。

山際に東西の三重塔が残り、歩くたびに目線に多様な変化あって、面白味があります。
日本で唯一つ、東西ともに現存する古代三重塔です。

塔頭の宗派には真言宗と浄土真宗があって、
本堂で行事主催も交互に行なっているそうで、
微妙なバランスから運営されていることも日本人らしさを感じるところです。

■仁王門
東から西へ入る方位。
一般お寺の南入りと異なっています。

仁王さんが迎えてくださいます。

■本堂(曼荼羅堂)(国宝 天平時代-藤原時代)
西の突き当たりにある極楽浄土。
内陣まで見学ができます。

苦楽の人生を歩んだ中将姫(ちゅうじょうひめ)の像があり、極楽浄土の中で生きていこうと決めた、その像が優しい表情です。

本尊は「當麻曼荼羅(たいま・まんだら)」が祀られ、
奈良時代、中将姫が目の当たりにした極楽浄土の光景を壮大な規模で表したもの。
本堂にこれらが集約されています。

■金堂
元は本堂。
1180年に平家の焼き討ちにあうものの、鎌倉時代に再建され、重要文化財指定されています。

国宝の弥勒仏坐像(みろくぶつ)は、土で作られた日本最古の塑像(そぞう)。白鳳時代の作で、どっしりとした安定感と存在感があります。

■講堂
僧侶の勉強部屋。
塔頭から集められた、平安時代から鎌倉時代の仏像群がお祀りされています。
こちらも、平家の焼き討ちからの再建。重要文化財指定です。

當麻寺は塔頭の存在感と影響が大きなお寺で、そのひとつです。

■中之坊
そのひとつの塔頭。
江戸初期には、後西天皇の行幸に際し、第4代将軍家綱の茶道指南役であった片桐石州が改修したのが、庭園「香藕園」。

書院が隣接し、「御幸の間」には玉座が置かれています。


茶室「丸窓席」がさらに隣接し、
片桐石州公が後西院陛下をもてなすために作ったお茶室で、 大きな円窓がデザインされた数奇屋づくり。千利休が好まなかったという竹をあえて用いていることも特徴。


■奥院
塔頭のひとつ。
京都南禅寺の奥院でもあります。

浄土の庭が他に見ないものです。

朱色の壁は珍しく、
外来の雰囲気もあります。
5本線と合わせて、格の高さを示すものだそうです。