俳聖殿、
松尾芭蕉の生誕地、伊賀上野の城址公園にある、
“俳聖”芭蕉をたたえるモニュメント建築です。

設計は、伊東忠太が助言、島田仙之助が設計とあり、伊東らしい類のない個性的なデザインです。
今でいうデザイン監修をされたものと思います。

竣工は昭和17年(1942)年、築80年。
2010年に重要文化財に指定されており、若い重要文化財です。

建築表現すると、木造二階建、檜皮葺き、八角重層塔建式の聖堂となりますが、
芭蕉の旅姿を建築で表現しているのが、何よりおもしろいです。

上層のなめらかな屋根は旅笠、「俳聖殿」の木額が顔、

八角形のひさしは蓑と衣、堂は脚部、

回廊の柱は杖と足、とのことです。

伊東忠太はこのあたりにも共感し、設計に参画したのかもしれません。

当時個人の寄付で建てられたものを伊賀市が譲り受けて管理しており、檜皮葺きも外壁もきれい維持されています。
伊賀の街が芭蕉を大切に誇る思いが、かたちに見えるように思います。

内部は伊賀焼による等身大の芭蕉像が安置されています。
年に一回芭蕉祭りが開催されるそうです。