鶴林寺は、兵庫県加古川にある聖徳太子ゆかりのお寺。太子堂は平安時代末期の建築、本堂は室町時代につくられた折衷様の代表建築。国宝に指定されています。

■本堂(国宝)

鶴林寺最大の建物で、1397年の建築。築620年です。
入母屋造り、本瓦葺き。

日本の仏寺建築は、和様の時代から鎌倉の初期には大仏様・禅宗様が輸入され、和様との折衷様式が流行し始めたころの代表建築です。

正面建具の吊りものは、折衷様です。
上部は、わら座で建具を吊っていて、大仏様。
下部は、床板でおさえていて和様。


外陣に入ると、高天井に組物が広がります。

組物、また梁の端部はアールとなっていて、大仏様。



本堂は大阪府河内長野市の観心寺本堂と並ぶ、折衷様式の代表例とされています。

■太子堂(国宝)

平安時代末期の1112年に建立された築900年。

三間正方形の建築として、お坊さんが修行する場としてつくられました。

写真は裏側から見たもの、とてもきれいなプロポーションです。

鎌倉時代になると、

聖徳太子を祀るようになり、一般のお参りができるように外陣が増築されています。

その奥行き一間の礼堂をつけたものが写真の右側。増築によって屋根の形が変更されています。

内陣と外陣には段差がつけられていて、増築部がよく分かります。


仁王門

3間1戸の楼門形式で、大伽藍の正門として位置する。

屋根は入母屋造、そして本瓦葺。下層は高く、上層は低く、均衡がとれた美しさがあります。


けやき柱の土台部には、唐様が見られる折衷様建築です。

■鐘楼(重要文化財)

入母屋造り、本瓦葺き。本堂より10年遅れて、1407年(応永14)に建立。築610年。

こちらも、きれいなプロポーションの建築です。