聴竹居の魅力を何度かに渡り、お伝えしてきました。

 

築90年を超える民間住宅が、残された稀な例です。

その理由を整理してみたい、と思います。

 

■とても魅力的な建築がつくられた!

建築主であり、設計者の藤井厚二氏による渾身の思いの住宅。

つくっては壊し5軒目の自邸。

普通は、一生に一度の自邸建築なのに、聞いたことがありません。

そして、とても腕のよい施工者。藤井氏が連れてきた棟梁が住み込みでつくりました。

建築主、設計者、施工者の思いがつまった魅力的な建築。

まずはこれに尽きます。

 

■古い建物が残された!

藤井家が東京に移転後も、売却せずに所有し続けてたこと。

そして、賃貸人の方が古い建物にもかかわらず、30年間改修せずに住み続けていただいたこと。

これは、運がよかったことです

 

■保存や運営に尽力するリーダーが現れた。

賃貸人が退去される前後に、聴竹居を守るリーダーが現れました(松隈章氏)。

このリーダーが、その後の保存、運営、出版など現在に至るまで尽力されます。

そして、建物の価値を見出した地域の方々が、保存と公開運営に尽力されます。

大きなポイントです!

 

■知名度の向上と両陛下のご訪問

そして、美術展、講演会などでの紹介、さらにマスコミ等が紹介するようになり、それが天皇・皇后の目にとまり、聴竹居をご訪問されます。

 

■企業による所有へ

ここまでは、民間個人の活動でしたが、

その後、

藤井厚二氏が所属した竹中工務店が購入し、組織として維持される体制ができたこと

さらに重要文化財に指定されたこと。

 

 

素晴らしい建築がつくられ、

その後、人や地域、企業との縁や出会いがあり、今日に残され

今後も残されていく体制ができています。

 

民間個人建築で、たぐい稀な運命にある「聴竹居」だと思います!