バロック的な豊かさ? | 緑家のリースリング日記 ~Probieren geht über Studieren~

バロック的な豊かさ?

今夜はロバート・ヴァイルの2022年産キートリッヒャー・クロスターベルク・リースリング・トロッケン。

かつてエーベルバッハ修道院の僧侶が、キートリッヒを越えてエルトヴィレにある修道院の製粉場まで
通うのに利用したという古の道「Closterweg」。畑を貫くように伸びるこの道に由来する名前である。

クロスターベルクでは、特にラインガウの山岳地帯を特徴づける地質学的多様性を見ることが出来る。

 

土壌の組成は基本的に、約4500万年前の古生代にマインツ盆地を満たした原始の海の堆積物によるもので

雑色粘板岩の他、千枚岩-粘板岩(これは風化しやすいため肥沃な細粒土壌とミネラルの源となっている)、

そしてセリサイト片麻岩(これは火山起源のもので、ラインガウの山岳地帯にのみ見られる)などである。

このような土壌組成の多様性がクロスターベルクのリースリングのバロック的な豊かさの源なのだ、そうな。
 

 

少し黄色がかった明るいレモンイエロー。注いだグラス底を曇らせるように非常に細かい気泡が付着。

赤いリンゴ系の果実が控えめに香るが香りは閉じ気味。

 

予想外に肉厚な果実味と、舌の上に乗っかかるやや重めのミネラル感、酸は凝縮感はあるがあまり伸びない。
この実入りのしっかり充実した果実味と骨格感のあるミネラルのおかげでラインガウ産らしい寸胴な酒躯。

取り立てて清涼感は感じられないがなかなかクリーンな造りで、今の時点で既に完成度が高いのは素晴らしい。

こういうのを「バロック的な豊かさ」と言うのかどうかは兎も角として、クロスターベルクの雰囲気には違いない。

 

 

抜栓5日目。果実味がやや引っ込んで、透明感のある酸と硬いミネラル感が映えるストレートな味わい。87/100

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2022 Kiedrich Klosterberg Riesling Qualitaetswein trocken

Weingut Robert Weil (Kiedrich/Rheingau)
A P Nr 34 003 028 23,Alc 13%vol